アップルは7日、米サンフランシスコでイベントを開催し、待望のiPhone 7を発表しました。早速、9日(金)16時1分から予約受付が開始されます。iPhone 7を巡っては、小幅アップデートに留まるとのうわさが広がっていた時期もありましたが、イベントでは、新色ジェットブラックの追加、イヤホンジャックの廃止、そして、Apple Payの日本上陸など、新機能やサービスが数多く発表されました。
ここで、7日のイベントで明かされたことを振り返ってみたいと思います。
今回のイベントの目玉はiPhone 7の発表です。ジョナサン・アイブ氏は、iPhone 7がいかに精巧で美しいかを強調し、「これまでで最高のiPhone」だと繰返し述べました。
カラーは、4.7インチのiPhone 7と5.5インチのiPhone 7 Plusともに、従来のラインナップに加え「ブラック」と光沢のある「ジェットブラック」が新登場。ディスプレイは明るさが25%向上し、広色域によりカラーマネジメントと色再現性も改善。過去2つのモデルに付いていた背面のアンテナ線は消滅。チップは最新のA10 Fusion。防水・防塵機能も搭載しています。そして、われわれ日本人にとって最も重要なのが、Apple Payの日本上陸です。
「Apple Payをできるだけ早く世界に広めたい。次は日本だ」
フィル・シラー氏の発言の後、ステージ上のスクリーンに日の丸が映し出され、Apple Payが日本でも利用可能になることが明かされました。日本国内で発売されるiPhone 7 / 7 PlusとApple Watch Series 2がFelicaに対応し、Suica、QUICPay、iDが使えるようになります。
3.5mmイヤホン端子がなくなりました。ユーザーは今後、同梱のLightning対応イヤホンを使用することになります。これまで使用してきたお気に入りのヘッドフォンをiPhone 7につなげることはできません(アダプタは同梱)。フィル・シラー氏は「Lightningは優れたオーディオスタンダード」であり「(アップルの)チームはこの移行を決断することで勇気を示した」と語りました。その決断が正しかったかどうかは今後明らかになるでしょう。
アナログオーディオからの移行をスムーズに行うため、アップルは、無線イヤホンをiPhoneにシームレスにつなぐ独自の基準を開発。自社製W1チップを搭載した、ペアリング不要のワイヤレスのAirPodsと、新しいEarPodsを発表しました。AirPodsの価格1万6800円で10月後半に発売予定。また、BeatsもW1チップ搭載の2つのヘッドフォンを発表し、価格は149~299ドル(1万5千~3万円)。
iPhoneの象徴の1つだった物理ホームボタンが、新MacBookのトラックパッドのような、Taptic Engineを採用した触覚フィードバックによる感圧ボタンに変わりました。
iPhone 7 Plusのリアカメラにデュアルカメラが搭載されました。とはいっても3D画像が撮影できるのではなく、望遠と広角という異なる焦点距離を持つ2つのレンズが搭載されることで、撮影される画質が一段と向上します。「ソフトウェアズーム」と呼ばれる機能を使うと、この2つのレンズの焦点距離間でカメラアプリのズームを行え、「デプス」と呼ばれる機能を使うと、2つのレンズの差を利用して被写体の背景をぼやけさせることができるとのこと。
一方iPhone 7は、レンズは広角のみですが、1200万画素のセンサー、新しいフラッシュ、f1.8レンズ、光学式手ブレ補正などiPhone 6sから大幅に機能が向上。新しい画像処理装置は、機械学習機能によりオートフォーカス、露光、色補正を実行します。
Apple Watchの第2世代となる「Apple Watch Series 2」が発表されました。ディスプレイは第1世代の2倍の明るさとなり、処理速度が50%向上したデュアルコアプロセッサ内蔵の新S2チップを搭載。素材は、従来のアルミニウムとステンレスに加え、セラミックが新登場。バンドには、洗練されたエルメスモデルやランナー向けのナイキモデルもあります。
価格は3万7800円から。iPhoneやiPad同様、既存のモデルは廉価版として引き続き販売。チップはS2に更新されます。価格は2万7800千円から。Series 2の事前予約はiPhone 7と同じく9月9日開始。今年前半に発表されたwatchOS3は、9月14日にリリースされます。
第1世代のApple Watchには防滴性能がありましたが、Series 2は最大50m深度の防水機能付き。水泳専用のワークアウトモードを搭載し、アップルは水泳時の着用をしきりに勧めていました。Series 2はスピーカーを除くすべての浸入経路を封鎖することで、防水性を高めたようです。
とはいってもスイマー専用機器というわけではなく、GPSを内蔵しているため電波の届かない場所でも位置確認が可能であるなど、ランナーやハイカーにとってさらに便利に。スタンドアロンのデータ接続はできませんが、初代モデルと比べより独立したデバイスとなっています。
ウェアラブル端末のポケモンGO Plusという商品はすでにありますが、watchOS用のポケモンGOアプリは、ポケモンを捕まえるというより発見するためのもので、引き続きiPhoneが必要になります。しかし、ポケモンGo Plusでは不可能だった視覚的フィードバックをプレイヤーに提供することができます。また卵の孵化機能も付いて、プレイヤーはより正確に歩くことが可能になるようです。
今回の大幅アップデートでは、Siriが画像検索やボイスメールのテキスト化に対応。また、SiriとiMessageが開発者に公開されます。ユーザーは、幅広いウィジェットや通知設定を利用できるようになるでしょう。また、Universal Clipboardなどのコンティニュイティ機能が拡張し、iPhone上のテキストや画像をコピーしてMacに貼り付ける、などといった動作が可能になります。
今回のイベントでは登場しませんでしたが、macOSの次期アップデート「Sierra」が9月21日にリリースされます。これに伴い従来の名称「OS X」は廃止。Sierraから、MacでもSiriが使えるようになり、音声を使ったファイルやメールへのアクセスが可能に。また、機能が向上したiCloudとコンティニュイティ機能が組み合わさることで、MacとiPhoneを行き来しながらの作業やファイル保存が、これまでより格段に容易になるとのことです。