発表を目前に控えたiPhone 6ですが、先行リリース予定のiOS 8についても期待は高まります。そこで今回、既存のiOS 7と比較しながら、iOS 8の新機能をチェックしていきましょう。
※下記の比較ではiPhone 5s（iOS 8ベータ版）、およびiPod touch（iOS 7.1.2）を使用。また比較画像はそれぞれ左がiOS 8、右がiOS 7です。
via - GottaBeMobile
ではまずiOS 8へのアップデート後、1番最初に操作するiPhoneの「ホーム画面」から始めましょう。
iOS 7とiOS 8の比較画像を見ても、これといった違いは見当たりません。iOS 7ではデザインと「ステータスバー」が変更されましたが、iOS 8においては特に何も変わっていないようです。
とは言え、iPhone 6では画面サイズが4.7インチになり解像度も高くなるため、やはりデザインは若干変更されることが予測されます。画面サイズが大きくなれば、アイコンが増える可能性もあるでしょう。
iOS 8ではロック画面に便利な機能が追加され、「メディカルID（医療用個人識別情報）」を確認することができるようになります。メディカルIDには、緊急連絡先や健康状態、服用中の薬など、医療に関する重要な情報を入力することができ、これらの内容をロック画面のままで確認することができます。
またこれらの情報は、iOS 8以降iPhoneの標準アプリになると言われている「健康管理アプリ」で簡単に編集することができます。この機能を利用すれば、今後は緊急事態でも、連絡先を慌てて探す必要はなくなるでしょう。
iOS 7から導入された「コントロールセンター」では、iPhoneの設定や、計算機、時計といった頻繁に利用するアプリに素早くアクセスすることができます。同時に、ミュージック・アプリを操作したり、画面の明るさを変更することも可能です。
一方iOS 8ではデザインに変更があります。比較画像を見ると、現在オンになっている機能のボタンがiOS 7では白で表示されていますが、iOS 8では黒でより強調されています。リリース時には、さらに変更が加えられているかもしれません。
iOS 7とiOS 8で「写真アプリ」を比べてみると一見同じように見えますが、実際に使ってみると、iOS 8がいかに便利であるのか実感することができるでしょう。
iOS 8では画像の保存場所が、既存の「フォトストリーム」から「iCloudフォトライブラリ」に変更されています。
iOS 7ではこれまで、フォトストリームに1000枚までの最新画像しか保存することができませんでしたが、今後iCloudフォトライブラリを利用すれば、すべてのiOSデバイスから最大5GBまで無料で画像を保存することができます（iCloudストレージの使用量全体で）。また画像は高画質のまま保存することができ、動画ファイルの保存も可能です。
インターネットに接続された環境であれば、今後はいつでもどこでも自分の写真を見ることができ、また写真のためだけに容量の多いiPhoneを買う必要もなくなるでしょう。さらにiPhoneを破損・紛失してしまった場合でも、画像は失われずにすむというメリットもあります。
検索機能も向上し、今後は日付、時刻、撮影場所で画像を検索することができます。またサジェスト機能（検索候補を表示する機能）を利用して、検索結果を絞り込むことも可能です。
編集機能も強化され、簡単な操作で既存の写真をより見栄え良く加工・修正することができます。
iOS 7とさほど変わらないと言われるiOS 8のカメラアプリですが、iOS 8では新たに装備された機能が2つあります。「セルフタイマー」と「タイムラプス」です。
「セルフタイマー」
セルフタイマーで写真撮影をすることができます。タイマーは3秒と10秒で選択が可能です。
「タイムラプス」
iOS 8のタイムラプス・モードでは、簡単操作でコマ撮りムービーを撮影することができます。画像取得の間隔や回数を設定する必要はなくシャッターボタンに触れるだけで、沈んでいく夕日や街の雑踏など、美しい風景を撮影できます。
現時点で分かっているのはこの2点だけですが、iPhone 6にはもっとたくさんの機能が追加されているかもしれません。
iOS 8ではメッセージアプリに多彩な機能が追加されました。
「ボイスメッセージ」
画面にあるマイクボタンを長押しして音声を録音し、スワイプするだけという簡単操作で、ボイスメッセージを送ることができます。受信したボイスメッセージの再生は、iPhoneを耳にあてるだけ。ボイスメッセージに音声で返信することもできます。ロック画面ではスピーカー再生も可能です。
「ビデオメッセージ」
カメラアイコンを長押しするだけでビデオメッセージを録画でき、個人やグループに送信することができます。
「位置情報の共有」
メッセージの相手と互いの位置情報を共有することで、自分の居場所を伝えたり、相手の居る場所を見付けることが可能になります。
「ワンタップですべてのファイルにアクセス」
1回のタップで、メッセージに添付された画像やファイルをすべて確認することができます。
「複数の画像・動画の送信」
複数の画像や動画を簡単操作で一度に送信することができます。
さらにiOS 8では、一定期間が経過したメッセージや画像を自動で消去する機能が装備されていますので、データ容量が過剰になる心配もありません。
iOS 8のグループメッセージでは、これまでの不便な点が多くの面で修正されています。
iOS 8からは、グループメッセージにおいて、参加者の追加や削除が可能になりました。またメッセージに名前を付けて管理することもできます。
さらにありがたい機能として、メッセージごとに「おやすみモード」が設定できるようになりました。こうしておけば受信したメッセージを後でまとめて読むことも可能です。「おやすみモード」がオンの間、通知音は鳴りません。
iOS 8ではキーボードの全面的な改良が行われたようです。
新たに導入されるものに、予測変換機能があります。これはユーザーの使用する単語を学習し、タイピングの際、次の単語を候補として挙げてくれるというものです。
この機能ではメールやメッセージなどを送る相手ごとに入力傾向を学習するため、例えば上司に対しては丁寧な表現、友人に対してはカジュアルな言葉遣いなど、対象ごとに適切な「言い回し」を候補として表示してくれます。さらに会話の状況も学習するため、「了解。行ってきます」など、その場に合った適切な返答も表示してくれます。
また口述したことをiPhoneに自動で書き出すことも可能。下の動画にもあるよう、話している言葉が次々とiPhoneに書き出されていきます。
さらにiOS 8では、サードパーティー製キーボードのインストールが可能になります。
ホームボタンをダブルクリックするとアプリの使用履歴が表示される「マルチタスキング」機能。iOS 7では、ここでアプリの終了や切り替えなどが行えます。
一方iOS 8では今後、既存の機能に加え、通話履歴も表示されるようになります。表示された各人のアイコンをタップするだけで、電話やFaceTimeの発信、メッセージの送信などが行えます。
iOS 7でもバッテリーの使用状況を確認することはできますが、「使用時間」と「起動時間」しか表示されません。
しかし今後iOS 8においては、どのアプリがどれだけバッテリーを消費しているのか 、アプリごとの確認が可能になります。
この機能を利用すれば、バッテリーの消費量を適宜抑えることができます。また消費量の多いアプリの使用を控えたり、削除を検討することもできるでしょう。
iOS 7ではApple IDを共有すれば、App Storeで購入したアプリや動画、音楽を家族間で共有することができますが、共有したくないものまで共有されてしまうというデメリットがあります。
そこでiOS 8からは「ファミリー共有」の機能が登場。家族それぞれのApple IDはそのままで、それぞれが購入したコンテンツを家族間で共有できます。1枚のクレジットカードで家族全員の支払いを行うことも可能です。
またこの機能を使えば家族で、位置情報や、カレンダー、画像などの共有もできます。子供が音楽やアプリなどを購入しようとした際、親のデバイスに通知を送り親が購入前の確認をすることも可能です。
今秋登場のクラウド・ストレージサービス「iCloud Drive」は、従来の「iCloud」が大幅に強化・改善されたもの。エクセルやパワーポイント、PDF、画像など、あらゆる種類のファイルが保存でき、かつiPadやiPhone、MacやWindowsなどからいつでもアクセスすることができます。
iCloud Drive はiOS 8 搭載のデバイスのほか、OS X Yosemite搭載のMacまたはWindows 7以降のパソコンで使用可能になります。MacではFinder、WindowsではWindows Explorerから、それぞれファイルやフォルダの管理が可能です。
iOS 8で標準搭載される健康管理アプリ「Health」を使えば、今後はiPhoneを使って体を鍛えたり、減量したりと、総合的な健康管理が実現できるでしょう。
iPhone 5sやiOS 7にも健康関連の機能は追加されていましたが、これらを利用するには多くの面でサードパーティー製アプリの力を借りなければなりませんでした。
「Health」では、運動量の測定やデータの保存など、このアプリだけで総合的な健康管理を行うことができます。またiPhoneだけでなく関連デバイスによるデータも一括で管理することが可能です。
さらにこれらの保存データは、別の健康関連アプリで確認することもできます。
iPhoneをアクセスポイントにして、Macとのインターネット共有（テザリング）を簡単に行えるようになります。MacとiPhoneが通信圏内にある場合、MacのWi-FiメニューにiPhoneが表示されます。わざわざテザリングをオンにする必要がなく、自動で表示されます。
心配なのはiPhoneのバッテリー残量と電波の強度ですが、これらは常にMacの画面に表示されているので、iPhoneを操作して確認する必要はありません。また、iPhoneのネットワークを使っていないときは、自動で接続が解除されます。
iPadやMacでもiMessageの送受信はできますが、SMSと通話の利用はできません。しかしiOS 8においては、iPadやMac（OS X Yosemite）でも、SMSや通話の利用が可能になります。
これはiPhoneとの連携機能を利用したもので、例えばSMSの場合、iPhoneで受信したSMSがiPadやMacに送信され、その後iPhoneを介して、iPadやMacでメッセージの送受信を行うことができます。
同様に通話においては、iPhoneで着信した通話をiPadやMacで受けることが可能になります。この通話機能、FaceTimeのようなビデオ通話と勘違いされそうですが、携帯電話や固定電話から発信されたものをiPhoneで受けiPadやMacに転送しているだけなので、通話自体は従来の電話と変わりません。
ホーム画面に指を置き下に引き下げると、スポットライトの検索ボックスが表示されます。
iOS 8で追加されたスポットライト機能の特徴は、欲しい情報にいち早くたどり着けることでしょう。
iOS 7では、Eメールの検索や連絡先の検索、アプリの検索などしかできませんが、iOS 8では各種情報へのリンクが表示され、ウィキペディアやニュース、iTunes Store、App Store、iBooks Storeに素早くアクセスすることができます。また店の検索やルート検索、映画の上映時間を確認することも可能です。さらにおすすめのウェブサイトも提示してくれます。
またこの機能はSafariとも連携しており、これらの検索結果をSafariで見ることも可能です。
絵文字入力を行うにはこれまで、キーボードの地球マークを長押しして入力モードを切り替えるか、あるいは絵文字用の機能を追加しなければなりませんでした。
しかし今後iOS 8では、キーボードにある顔文字マークを1回タップするだけで、簡単に絵文字キーボードにアクセスすることができます。
iOS 8とOS X Yosemiteでは、iPhoneとコンピューター、iPhoneとiPadなどデバイス間で、作成中のファイルやEメールの作業を引き継ぐことができます。
iOS 7においてファイルを別のデバイスと共有するには、手作業で保存し共有する必要があります。また共有した後も、共有後のデバイスでファイルを探さなければなりません。
しかしこの「ハンドオフ」機能を使えば、例えばiPhoneで作成した文書の続きをiPadやコンピューターで編集したり、閲覧中のウェブサイトやアプリを別のデバイスで引き続き 閲覧することができます。
iOS 7のAirDrop機能ではiOSデバイス同士ででしかファイルを移動できませんが、今後iOS 8とOS X Yosemiteにおいては、iPhoneとMacの間でもファイルの受け渡しが可能になります。
これまでMacとiOSの間で画像共有ができないのはとても不便でしたので、これは優れた機能と言えるでしょう。
さてiOS 8の新機能19連発、いかがでしたか。
アップルはiOS 7においてデザインを一新しましたが、iOS 8についてはデザインの変更はごくわずかに留め、その代わりとして新機能の追加や既存機能の強化に焦点を当てたように思われます。例えばメッセージや写真アプリの強化、健康管理アプリの追加などがそれに当たるでしょう。またAndroidに対抗してか、キーボードの操作性も良くなっているようです。
iOS 8は今秋、iPhone 6の発売に先行して一般公開されると言われています。iOS 8へのアップデートはもちろん無料。ダウンロードか可能な機種はそれぞれiPhone 4s以降、iPad 2以降、iPod touch 5以降のデバイスになります。