アップルは、ライバルであるAndroidから多くの優れた機能を「借用」しています。これは決して悪いことではありません。ユーザーの要望を満たそうというアップルの意思の表れにほかなりませんし、AndroidユーザーがiPhoneに乗り換えるきっかけにもなるからです。
この「乗り換え」については、ティム・クック氏も4月の決算発表で何度も言及するほど、最近その傾向が顕著になっているようです。そこで、アップルがこの数年の間にAndroidから取り入れた機能のいくつかを見てみることにしましょう。米Business Insiderが伝えています。
iPadの画面を分割して2つのアプリを並列できるマルチタスク機能「Split View」が、今秋リリースされるiOS 9から導入されます。しかしLGやサムスンのAndroid製品には、同様の機能が何年も前から搭載されています。サムスンの「マルチウィンドウ」はホーム画面で2つ以上のアプリを同時に開くことができ、画面のサイズ変更も可能です。LGの「QSlide」は、各ウィンドウの透明度の微調整もできます。
iOS 9の大きな改良点の1つが、Siriがより内容に応じた提案を行えるようになる点です。Google Nowはこのような機能をすでに提供しており、利用状況から学習してユーザーの習慣に沿った提案を行っています。
iOS 9ではマップも大幅に改良され、電車やバスその他の公共交通機関の乗換案内が利用できるようになります。Google Mapsではかなり前から同種の機能を提供しています。
iOS 9から「Picture in Picture」という新機能が追加されます。これはFacetimeで通話しているときや動画を再生しているときに、ビデオ画面を小さくしてディスプレイの隅に表示させる機能です。動画を中断することなくメールチェックやテキスト送信、Facebookの閲覧などができるようになります。
LGのQSlideにも同様の機能があり、こちらは2013年のG2から採用されています。QSlideは画面のサイズを変更したりスクリーンの周囲に移動させたりできるほか、Picture in Pictureと同様のエフェクトもついています。
iOS 9は、ユーザーの利用状況にもとづきアプリを自動で起動する新しい機能が追加されます。例えば、出勤中に音楽を聴くと、朝、ヘッドフォンが差し込まれたときに自動的にApple Musicを起動する、といった具合。
全く同じではありませんが、AviateなどAndroidのランチャーが同種の機能をすでに提供しています。Aviateは毎日決まった時間に、ユーザーの行動を予測してアプリや情報を表示します。HTCの新製品One M9も、ユーザーの所在地にもとづいて関連性の高いアプリを表示する機能が追加されています。
iOS 9では、Storeクレジットカードやポイントカードをアプリに保存することができるようになります。Google Walletは同種の機能をすでに導入済みです。
昨年秋に発表されたiPhone 6と6 Plusは、アップルでは初めてNFC(近距離無線通信)を搭載し、デバイスをかざすだけで支払いが行えるようになりました。一方Androidのスマートフォンは、モバイル決済が本格始動する前からこの機能が搭載されており、サムスンのGalaxy S3などは2012年にすでにNFCを内蔵していました。
ウィジェットとは天気予報などを表示するインタラクティブなアプリアイコンで、アップルは2014年リリースのiOS 8からこれを導入しました。iOSのウィジェットは通知センターにありますが、Androidのウィジェットはホーム画面上の好きな場所に配置でき、サイズ変更も可能です。Androidにウィジェットが登場したのは2009年のAndroid 2.0 Éclairからです。
iOS 8から、ホームボタンを押さなくても呼びかけるだけでSiriを起動できる機能が追加されました。2013年に発表されたモトローラMoto Xには、類似の、しかもより高度な機能がついています。Moto Xには自然言語プロセッサが搭載されているため、ボタンを押したり画面に触れたりしなくても遠くから日常言語で呼びかけることができます。
SwypeやSwift Keyといったサードパーティ製キーボードをiPhoneにダウンロードできるようになったのも、iOS 8からです。Androidは数年前から対応済みです。
iOS 8では、アプリを開かなくてもテキストメッセージやその他通知のアラートに応答できる「アクショナブル・ノーティフィケーション」機能が追加されました。Androidは、同種の機能を2012年発表のJelly Bean 4.1から導入しています。