米国のForbesに、ハイテク産業関連のアナリストであるパトリック・ムーアヘッド氏が、iPhoneからアンドロイド系スマートフォンに乗り換えての3週間の体験記を寄稿しております。
私は3週間前、愛用のiPhone 4Sを使うのをしばらく止めて、アンドロイド系スマホを使ってみることにしました。iPhoneを「決して使わなかった」とは言いません。これは一つの試みなので、そのあたりの事情は察していただければと思います。アンドロイドを使ってみての私の体験を参考にされて、皆さんもご自身の体験と洞察を深めて、次のスマホ購入の検討材料にしていただければと願っています。
これはごく私的な印象批評とでも言うべきものに過ぎません。ハイテクのことが大好きで相応の知識も備えている、アメリカに住む四十台中盤の男性の一つの意見です。いいところ、わるいところ、そしてiPhone 4Sとアンドロイドフォンを比較したとき大して違いのないところについて書きます。
私は三つのアンドロイドフォンを使用しました。それらを行ったり来たりして、アンドロイドを体験しました。三つのフォンとは、サムスンのNexus、モトローラのRazr HD i、HTC One X+です。では、いいところから見ていきましょう。
ウィジェットによるインフォやコントロールへのアクセスのしやすさ
アンドロイドのウィジェットがあれば、アプリを開かなくても、よくアクセスする情報を見ることができます。私がよく使うアプリウィジェットは、メール、カレンダー、スポーツ試合のスコア、天気、ソーシャルメディアのアップデート、TripItです。いいところは、アプリ内のデータをいじることができること。しかもそのアプリを開く必要がありません。じつに時間の節約になります。私のアンドロイドのコントロールウィジェットは、ディスプレイ設定とホットスポットです。クリック三回しなくても、一回で済みます。
※ウィジェット・・ホーム画面上で、ひと目で情報を得られるように小型化されたアプリ。
無料ホットスポット
これは分かりやすい話です。私のiPhoneとAT&Tだと、Wi-fi用ホットスポットに料金を余分に支払う必要がありました。しかしアンドロイドだと、無料です。
コンテンツの共有がより簡単
写真や複数のソーシャルメディアサイトのようなコンテンツの共有が、とても簡単です。iPhoneだと、アプリを開いて写真やビデオなどのコンテンツを落とし込む必要があります。ただしFacebookとTwitterは例外ですが。アンドロイドフォンであれば、写真やウェブリンクをInstagram、Dropbox、Evernote、Sugarsync、Foursquare、Google+、Google Drive、Flickr、HootSuite、Messenger、Picasa、Skitch、SkyDrive、Skype、WordPressなど他、たくさんのアプリと共有することができます。
Googleボイス
私は仕事柄、メモすることが多いので、音声をテキスト化しています。これがじつに円滑です。Siriだといまいちの場合でも、Googleボイスなら大丈夫ということがあります。
Googleサービスとのスムーズな同期
メール、カレンダー、タスク、マップなどGoogle サービスとの連携はやはり見事です。iPhoneだと上手くいかなかったり、特徴も限定されてしまう場合があります。連絡先(Contacts)はそのよい例で、iPhoneの連絡先は、別のアプリの助けを借りないと、Googleの連絡先と同期しません。Googleマップについては、言わずもがなですね。
クールなツール
アンドロイドフォンには本当にクールなツールがいくつかあり、私はそれらが大好きです。モトローラのSmart Actionsでは、睡眠中、自宅に居る時、仕事中のような場面に応じた状況で、タスク(すべきこと)を自動化するよう提案してくれます。HTCには、電力節約向けのトグルがあり、各アプリのデータ使用量を示したり、プリセットした条件をもとに警告してくれたりする詳細な「使用(usage)」タブもあります。
マルチタスクコントロール
アンドロイドは、PCやMac以上に、マルチタスクに関するコントロールは進化しています。背景にある写真をクラウドのストレージやソーシャルメディアサイトにアップロードする際は、とても便利です。Pulse、Podcasts、Evernoteの最新データをもつ新しいフォンに乗り換えるときも、じつに快適です。電力節約のために、Wi-fi接続中または有線でのネット接続中にのみアップロードするよう選べるアプリも多々あります。Sugarsyncなどは、バッテリー残量が25%を切ると、写真のアップロードをストップします。iPhoneにはない機能です。
ブラウザーのChrome
iOSではWebKitではないChromeですが、これはスグレ物です。自分のPCのブックマーク、パスワード、タブを他のChromeブラウザーと同期できます。たしかに、Safariでもできることですが、私は、自分のPCとMacブラウザーにはChromeを使う方が好きです。
※WebKit(ウェブキット)・・アップルが中心となって開発されているオープンソースのHTMLレンダリングエンジン群の総称
Google Now
とりわけ検索ベースのカードで、Google Nowには強い印象を受けました。旅先などで大変に有用で、Google Nowは、自分の飛行機の出発時刻、ゲート、天気、ホテル詳細を、データ入力することなく提示してくれます。これは私のEメールがインデックス化されているためなので、少し薄気味わるいんですが、値打ちのある機能なので私は使っています。
では、iPhoneとアンドロイドフォンであまり違いのないところを見ていきましょう。
アプリ最初のページ
以前のバージョンのアンドロイドと異なり、Jelly Bean版では、人気が高くトレンディーなアプリが提供されています。それらの最初のページはもはや「ugly(みにくい)」ではなく、とてもよく似た特徴と外見を備えています。しかしEvernoteは例外で、iOS版と比べて今でも大変uglyです。他のすべてのアプリの最初のページについては、良くなっています。
使い勝手について
私はアンドロイドのすべてのバージョンを最初の頃から使ってきました。しかしJelly Beanまでは、どのバージョンも、iOSほど良いと「感じた」ことはありませんでした。Project Butterは、ユーザー体験上、まことに良い仕事をしてくれました。
※Project Butter・・OS全体の速度を改善する一連の取り組み。アンドロイド4.1から導入。
バッテリー寿命
どのアンドロイドフォンにおいても、バッテリー寿命に関して特に不満は感じませんでした。とりわけモトローラのRazr HD iは、より長く持続するように感じました。バッテリー寿命については、すでにネット上に100あまりのレビューが出ていますので、正確な数値はそちらを参照してください。
カメラ
アンドロイドのカメラの素晴らしさについて、どれほど多くの人が言おうとも、iPhoneにはかなわないと私は感じています。ただし例外があって、フラッシュの必要な環境では、写真は白みがかってしまいます。アンドロイドカメラはどれも動作は素早く、より多くの設定を備えていますが、その写真はiPhone 4Sのものほど良いものには決して見えません。
メール
これは何とも言えません。なぜなら自分が過去数年のあいだ、iPhoneのメールを使ってきたからです。私はアンドロイドよりもiOSのメールが好きです。しかしその理由を説明するのは難しいことです。アンドロイドのメールはどこか違うのです。新しいフォルダを見つける場合も、分かりにくい。これは私が四つのEメールアカウントを持っていることと関係があるかもしれません。あるいは単に私の使い方のせいかもしれません。唯一の例外はスワイプ機能で、アンドロイドであれば、要るもの要らないものをスワイプ一つでカスタマイズすることができます。
「優待リンク」機能
「優待リンク」というのはiOSでの正式名称ではないですが、これがアンドロイドにはないのが残念でした。メール、カレンダー、ウェブページ内のアドレス、電話番号へのリンクがあれば、何かをすることができます。アンドロイドではEメール内に名前を埋め込むのも一苦労ですが、iOSではそんなことはありません。
コピー&ペースト
基本機能であるにもかかわらず、アンドロイドの場合、個人的にちょっとやりにくいと感じました。ここ数年ずっと、自分がiPhoneを使ってきたせいかもしれません。しかしアンドロイドを使ってみて、フラストレーションをおぼえました。
グループテキスト
グループテキスト(iMesssegeなどで、一度に大量のテキストを送る)を順序とコンテキストに応じて提示するiPhoneと違って、アンドロイドではばらばらになっています。四年ほどアンドロイドと付き合いがありますが、今もってこんな状態のままであることが理解できません。もっといいものにできるはずです。