国内携帯通信最大手のNTTドコモが、今後MVNO(仮想移動体通信事業者)として、通信サービスを割安料金で提供する考えであることを明らかにしました。
NTTドコモ常務執行役員(財務担当)の佐藤啓孝氏は、13日発行のブルームバーグの記事で、同社第2のブランドとしてMVNO事業を開始したいとし、また開始に当たっては「いろいろなことはスタディーしている」と述べています。ただし決定には市場規模や採算性なども考慮する必要があるため、参入時期など具体的なことは現時点では未定としています。
MVNOとは、携帯電話回線などの無線通信インフラを自社では持たず大手通信事業者から借り受けて、独自のモバイル通信サービスを提供する事業者のこと。サービスのメリットとして比較的割安な料金プランが挙げられます。
「格安SIM」や「格安スマホ」としてMVNO事業というビジネスモデルへの関心が高まるなか、通信事業者やインターネット事業者はもとより、小売り大手のイオンのような他業種も「イオンスマホ(格安スマートフォン)」のような形で同事業に参入しています。すでにあるMVNOサービスの多くはNTTドコモのネットワークを利用していますが、主要3事業者では昨年12月、KDDIもMVNOへの本格参入を開始しました。
調査会社MM総研の調べでは、MVNOサービスの総契約回線数は昨年9月末時点で1928万回線に上り、同年3月末の1480万回線と比較すると、わずか半年の間に約3割も増加したことが分かります。
また総務省によると、モバイル通信の契約者のうちMVNOサービスの占める割合は現時点で5%強だということですが、今年5月からSIMロック解除が義務化されることもあり、2016年には全体の10%まで拡大させたいとしています。
MVNO 市場の成長が見込まれるなか、インフラ力の高いNTTドコモが参入するとなれば、今後の動向が気になるところです。