25日発行の日本経済新聞(電子版)によれば、総務省は通信事業者に対し、来年5月以降に発売の端末において、SIMロック解除を義務付ける方針を明らかにしたということです。
これにより今後各通信事業者は、利用者が希望すれば、原則無料で解除に応じる必要があります。また利用者は、新たに端末を購入せず使い慣れた端末で、自分に合ったサービスを提供する通信事業者に乗り換えることができます。
適用開始となるのは、来年5月以降に発売の新製品からとされており、例えばアップルのiPhoneを例に挙げると、15年秋に発売される新機種からが対象となります。
通信事業者側における解除の義務については、原則的に端末の販売直後からとしていますが、分割払いで購入する利用者もいるため、完済しない可能性のある人や、あるいは転売が疑われる人に対しては、解除に応じなくてもよいこととしています。
またこのようなケースにおいて、販売からどれくらいの期間で解除に応じるのかについては、各社の決定によるようです。一方、割賦契約(分割支払)は基本的に2年のため、少なくとも販売後2年が経過すれば、解除に応じてもらえるものと思われます。
SIMロックとは、契約している通信事業者以外のサービスで端末を利用できないよう制限をかけるもので、これまで各通信事業者が利用者の「囲い込み」に利用してきました。また解約後でも、同じ端末で他の通信事業者のサービスを利用することはできず、高価な端末を新たに買い替える必要がありました。従って今後、解除が義務化されれば、例えば同じ端末で格安の通信事業者などに乗り換えやすくなるほか、海外旅行先でも現地のサービスを利用できるようになります。
総務省では数年前から、SIMロック解除の動きに乗り出していました。しかし通信事業者数社はこれに反発。ネット上でも議論が繰り広げられるなどし、注目を集めていました。結果、総務省は「SIMロック解除に関するガイドライン」の策定は行ったものの、実施の有無については各通信事業者の判断に委ねるものとし、NTTドコモおよびソフトバンクモバイルが、一部の端末で解除するのみとなっていました。
ところが今年に入り、総務省のICTサービス安心・安全研究会が「消費者保護ルールの見直し・充実に関するワーキンググループ」を実施。そこで携帯電話の販売にまつわるクーリングオフの問題と関連付けて、各通信事業者に対してSIMロック解除を義務付ける方針を打ち出し、今回の動きへと発展しました。
SIMロック解除の義務化については、総務省が月内にも新たな制度案を発表するとしており、その後の意見公募も踏まえて、年内には正式な決定を行うものとしています。