アップルは28日(米国時間)、ビーツエレクトロニクス(Beats Electronics)を30億ドル(約3050億円)で買収すると発表しました。ビーツの共同創業者であるジミー・アイヴォン氏とドクター・ドレ(アンドレ・ヤング)氏も、今後はアップルに参加するとのことです。米国のApple Insiderが伝えています。
アップルによるビーツの買収については、この数週間さまざまな噂や憶測が飛び交い、議論を呼んでいました。今回の買収でアップルは、音楽配信サービス事業のビーツミュージックと、ヘッドフォンやスピーカーなど利益率の高いオーディオ製品を製造するビーツエレクトロニクスを取得します。
アップルのCEOティム・クック氏は声明の中で、「音楽は私たちの人生でとても大事な要素であり、アップルの中でも特別な位置を占めている。私たちが音楽への投資を継続する理由もそこにある。今回、卓越したチームを当社に迎え入れることにより、世界で最も革新的な音楽サービスと製品を、これからも作り続けることが可能になるだろう」と述べています。
買収額のうち約26億ドルは現金で支払われ、残り約4億ドルは今後長期的に支払われていく予定です。
故スティーブ・ジョブズ氏の友人だったアイヴォン氏は、「ビーツはアップルにぴったりだといつも思っていた。ビーツのアイデアは、文化と技術を融合させるアップルの比類のない手腕に刺激を受けて生まれた。音楽ファンやアーティスト、作詞家や音楽業界に対するアップルの深い関わりは特別なものがある」と述べています。
業界の専門家の中には今回の買収を、1月に始動したビーツミュージックとiTunes Radioとを結びつけることが目的だとみる人もいます。それにより、アップルの音楽配信サービスへの参入が容易になるからです。ただし、ビーツミュージックは買収後も独立して運営されることが伝えられています。
また、アップルが期待しているのはアイヴォン氏とヤング氏だと主張する人もいます。アイヴォン氏は音楽界の大物、ヤング氏はヒップホップのスターで、共に業界に君臨する人物だからです。誕生したばかりのアップルのストリーミングサービスに、確実なコンテンツを提供することができるのではと注目されています。
アップルのインターネット・ソフトウェアサービス担当上級副社長、エディー・キュー氏は「音楽はアップルのDNAにとって重要な要素であり今後もそれは変わらない。ビーツが加わることで当社の音楽ラインナップは、無料ストリーミングサービスのiTunes Radio、世界クラスの配信サービスであるビーツ、そしてもちろんiTunes Storeでの楽曲販売など、さらに素晴らしいものになる」と語っています。
買収は当局の承認などを経てアップルの会計年度第4四半期(7~9月)に完了する予定です。