多くの人はアップルの収益を目にしてこう思っているかもしれません。「何が問題なのだろう?」。その問いかけはごく当たり前のものです。米国のBusinessInsiderは、今回の四半期決算が投資家たちの期待を裏切ったことは、アップルにとって良いニュースだと主張しています。なぜでしょうか?
1月23日(米国時間)にアップルが発表した2013年第1四半期(2012年10~12月期)決算によれば、iPhoneの販売台数は過去最高の4780万台となり、販売期間が13週間と昨年より1週間短かったにもかかわらず、前年同期比で1,080万台増加しました。
売上高(約4兆8340億円)と純利益(約1兆1600億円)も過去最高を記録。現在の手持ち現金残高は1370億ドル(約12兆2000億円)です。アップルはいまも、iPad miniを購入者全員に行き渡らせることが出来ていません。
しかし収益の発表を受け、アップルの株価は11%下落しました。このニュースを聞いてあなたは、アップルの今後を不安に思うかもしれません。
いったい何が問題なのでしょうか?
客観的には何の問題もないように見えます。アップルが人々に愛される製品を作り続ける巨大企業であることにいまも変わりはありません。
しかし、アップルの成長は著しく低下しています。驚異的な成長を遂げた時期もありました。その成長が去ると、投資家やアナリストたちはアップルに対する予測を修正し始めました。しかしそのような予測はすぐにコントロール不能に陥りました。
そして、その予測が今またリセットされています。iPhoneが今後、いままでのような成長ペースで世界に君臨し続けることは難しいでしょう。iPadはiPhoneのような売れ方をする製品ではありません。アップルが今後、iPhoneのような驚異的な利益を生む製品を生み出す可能性は、不可能に近いかもしれません。
アップルがiPhoneを1台640ドルで売ると、そのおよそ半分は会社の利益です。このような収益性で販売されるアップル製品は、今後は生まれることはないでしょう。アップルが新しくテレビを発売したとしても、収益低下は止められず成長を維持することは難しいでしょう。
実は、現在開発中のiPhoneも同じコースをたどっています。急成長の時代は終わりました。成長そのものはいまも続いていますが、以前のような目を見張るものではありません。
アップルが今も健全な企業であることに変わりはありませんが、もはや夢を見ることはできません。1,000ドルの目標株価は遠ざかっています。
そして、奇妙なことですが、これこそが朗報なのです。予測のリセットはアップルに深呼吸の機会を与えます。不可能な水準を維持し続ける必要はないのです。予測を再び打ち破れば、前へ進むことが出来ます。
アップルが幸運だったら株価は息を吹き返すでしょう。幸運でなければそうはならないでしょう。しかしそれは、アップルの製品が素晴らしくない、ということを意味しません。投資家がアップルの株を好まなかった、というただそれだけの話です。