iOS技術に詳しいアンドリュー・イエーツ氏は米国Forbesに、将来的にアップル及びiPhoneがどのような方向に進んで行くのかについて寄稿しております。
iPhone 5の発表が近づくにつれ、噂の方も大きな盛り上がりを見せていますが、驚くべきことは、誰もかれもがアップルの次期ハードウェアのリリースに注目しているらしいということ。どんな外見なのか?カメラのメガピクセルはいかほどなのか?スクリーンの解像度は?といった具合です。
どれも興味深いことは確かですが、イエーツ氏がiOS専門家として過去数年に渡り、アップルを観察してきて分かったことは、オペレーティングシステムの変化こそ、アップルの旗艦製品を変える最大の要素であるということです。
iOSに関して言えば、かりにその最新版をフォローアップしないとなると、長期的な観点からしても良いことはありません。イエーツ氏は今年のWWDCで、5つのことを洞察として得たと言います。これは未来のiPhoneに向けた変化として最も重要だと考えられることです。
1.Siri、フォースクエアのオリンピックはどうなってる?Siri(音声アシスタント機能)が初めて発表されてから、オープンソースプロジェクトが現れて、人々が機能性をパーソナルアシスタントに加えるまであまり時間はかかりませんでした。今やiOS 6の一般公開が迫りつつあり、アップルはSiriを使ってアプリを起動する機能を加えようとしています。実にパワフルな機能ですが、Siriの未来はさらに明るいものになるでしょう。
アップルはiOS 7及びそれ以降のiOSにおいて、SiriのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開して、アプリ開発者らが、Siriにできるアクションを登録できるようにするだろうことはほぼ確実です。「Siri、フォースクエアのオリンピックはどうなってる?」とか「Siri、僕の最新の写真をツィッターに上げて」などと言うことが可能になるでしょう。
2. アプリ間の連携がより緊密にイエーツ氏は、アンドロイドにおけるアプリ同士の連携は、iOSよりはるかに進化していると言います。 良い例は、アンドロイドだと、アプリがシェアメニューに現れます。これによって例えば、FlipboardからInstapaperに、ZiteからReadabilityに保存することができます。しかも、これらアプリの製造元である企業が形式的に提携することなく、これが可能なのです。
iOS 6では、これが実現しそうです。新しいシェア用メニューが用意されます。良いニュースですね。新シェア用メニューをツィッター、facebook、Eメールにシームレスに統合するアプリから、ユーザーはシェアすることができるようになります。これは多くの人々が「インターネットの未来」として思い描いているものに大変近いもの。アップルがこのトレンドの最先端にいることは間違いなく、これらの興味深い特徴がすぐにも現実のものになることでしょう。
3. ペーパーレスNFC(近距離通信)の噂もあります。iOS 6ではPassbookがデバイスに搭載されます。あなたのカード、クーポン、チケットの情報がそこに保存されます。アップルがNFCをiPhoneに付け加えるのも時間の問題となっています。
もうすぐ、空港、キャッシュカウンター、レストランで、デバイスをスワイプする(かざす)だけで、NFC付きPassbookを使用したりアップデートすることができるようになります。iPhone 5でこれが実現する見込みは高いと言えます。NFCはまた、この技術がiPhoneにないために、アンドロイドからiOSへ乗り換えることができなかったアプリのために道を開いてくれます。アップルがNFCをメインストリームに押し出してくれれば、多くのイノベーションときっかけが生まれるかもしれません。
ここで最も興味深いことは、アップルはNFCによって、Google Wallet及びマイクロソフトのウィンドウズフォン8のFast Cardsに拮抗することができるようになることです。
4. デバイス上にショッピングセンターApp Storeと Mac App Storeの成功により、オンライン上や店舗でごく普通に商品を購入する際にも、同じシステムが使われることになるのでしょうか?これについても多くの噂があります。アップルIDの使用をiTunesやApp Storesでの購入だけでなく、さらに拡大するというものです。
一例として、アップルは、PinterestのライバルであるThe Fancyの買収に興味を示しているという噂があります。The Fancyを買収すれば、アップルは4億を超えるユーザーに、さらに拡充したオンラインショッピングを提供することができます。
Apple walletが準備中ということは確かなことで、これに関する特許はすでに認可されています。
5. iOSで、あなたのMacにさらなるイノベーションが数週間前にリリースされた最新のMountain Lionには、いくつかの洒落た機能が追加されました。既存iOSの特徴から拝借したのが明らかな機能もありました。すなわち、一つのOSですべてを統括するという構図が浮かび上がってきます。
通知センターは今やMacにもあり、これはiPhoneやiPadのユーザーにはお馴染みのものです。その前に、OS Xは、iOSのSpringboard(iOSのアプリケーションを管理するソフトウェア)の兄的存在であるLaunchpadのほかにMac Appストアも手に入れました。
さて問題は、iOSの要素で他にMacに移入されるものは何か?ということです。Mac向けのSiriのようなものはありうるでしょうか?タッチスクリーンを模したようなトラックパッドはどうでしょう?Macで本当にスクリーンにタッチするようなことになる?これらのことは、2013年初めにMacの新モデルがリリースされる頃、明らかになりそうです。
イエーツ氏は過去数年間、アップルのアプローチの仕方やその変化の道筋を見てきました。上に述べた5つのことは近い将来、現実のものになるだろうとイエーツ氏は信じています。
アップルは今後、どのような進化を遂げるのでしょうか。