Google 対 Apple、次は「スマートTV」をめぐる覇権争いへ
英国のthe guardianによると、アップルは今年後半、iTVをリリース予定です。Googleとアップルは目下、スマートフォン市場で覇権争いを続けていますが、次はテレビ市場における争いへと移行する模様です。
LGエレクトロニクスは来週、アンドロイドのインターフェース上で作動するインターネット接続仕様のテレビ（あるいは「スマートTV」）を発表予定。サムスンは今年後半、Googleのソフトウェアを使用するTVセットを生産開始。すでにソニーとビジオ(Vizio)はアンドロイド系のTVセットを生産していますが、これら韓国の大手二社も参入することになります。
LG社のアンドロイド系TVセットでは、ユーザーが番組を見たり、ネット検索、Facebookのようなソーシャルネットワーク上で友達と会話したりできるようになります。さらに3D用メガネも装備。米国では今年リリース予定で、英国では2013年になりそうです。
今年後半、スクリーンとインターネット接続を完備したiTVセットをリリース予定のアップル。一方のGoogleは、アンドロイドをスマホに取り入れてメーカー各社と連携を図ったように、テレビにおいても同様の戦略を取りつつ、アップルの牙城を崩そうと虎視眈々と狙いを定めています。
アップルはご存知のように、音楽と携帯電話の産業構造を大きく変革しました。その革命は今度、テレビ業界に移りつつあり、私たちのテレビの見方を刷新するべくGoogleと競い合うことになります。
Googleのエリック・シュミット会長は昨年12月、「2012年夏までに、TVセットの大半にGoogle TVが内蔵されるだろう」との見通しを述べました。英国に本社を置くIMS Researchによると、インターネット接続型テレビの市場は成長を続けており、2011年の680億米ドルから2016年には1220億米ドルへ増加し、およそ倍になるとのことです。
Google TVは、スマホのアンドロイドのホーム画面同様のインターフェースで、スクリーン上には数々のアプリが並ぶことになります。Google社のテレビ提携事業のトップであるミッキー・キム氏は「スマホ用のアプリ何十万と比べると未だ僅少だが、TVサービス向けに作られた150のアプリを用意している」とし、「Google TVは、新しい娯楽とイノベーションをウェブからテレビにもたらす。2012年は提携各社と強力しつつ、Google TV内蔵の製品を世界各国に広めていく」と展望を語りました。
しかし今のところ、サービスは遅々として進んでおりません。Google TVはアマゾンなどからダウンロードで番組を買い付けていますが、テレビ局各社はこれを拒否しているのが現状です。
すでにスマートTVを展開しているソニーのテレビ事業（赤字採算）ですが、アンドロイドのスマートTVセットは、これにほとんど影響しません。他方LGは、両面作戦を取るつもりです。つまり、これまでのスマートTVは今まで通りNetCastのソフトウェアを使用し、新モデルの60％以上もこれを継続して使う予定です。しかし業界筋の情報によると、アップルの参入によって、インターネットTVは新たな局面を向かえそうです。今週のUSA Todayの記事によると、あるアップルの元従業員が、同社デザイン部門長であるジョナサン・アイブ卿の厳重にガードされたスタジオ内で、優雅で洗練された50インチのTVセットが保管されているのを目撃したと主張したとのことです。
アップルのTVセットはLCDフラットスクリーンで、Wifi内蔵。iPhone 4Sに搭載されたSiriを用いて音声による操作が可能。また、手を振るなどのジェスチャーによる操作も可能になるデバイスを開発中とのことです。
iTunesストアへのアクセスも可能で、数多くの映画やテレビ番組を鑑賞することもできます。しかし、このようなサービスの成功の鍵となるのは、最新ヒット作にアクセスできるかどうかです。ところが、そのような作品を保有する既存のテレビ局は自身のビジネスがiTVによって脅威にさらされるため、交渉は難航するかもしれません。
バークレイキャピタルのアナリストであるベン・レイツ氏は、アップルは2013年のTV参入によって190億米ドルの収益を上げると推測しています。しかし、「アップルによる世界のテレビ業界への参入は、正しいデバイスとコンテンツが未だ揃っていない以上、音楽業界再編の際とは事情が全く異なる」との専門家の意見もあります。
いよいよテレビの世界にも、Googleとアップルの革命の波が押し寄せる時代になりました。既存のテレビ業界はとりあえず抵抗を見せるでしょうが、時間の問題だと思います。
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