楽天モバイル、UQモバイル、ワイモバイルの速度比較
民間調査会社のMMD研究所が8月、現在検討している格安SIMサービス(複数回答可)についてスマホユーザー1,072人に聞いたところ、iPhoneユーザーではワイモバイル(Y!mobile)が47.7%と最も多く、次いで楽天モバイルが46.3%、UQモバイルが42.5%。Androidユーザーでは楽天モバイルが50.1%、UQモバイルが31.5%、ワイモバイル(Y!mobile)が31.1%(複数回答可)となったそうです。
OS別で嗜好の違いが若干あるものの、これら3社が最も気になるサービスであることは間違いないようです。そんななか、楽天モバイルは9月1日より、UQモバイルの「おしゃべりプラン」、ワイモバイルの「スマホプラン」によく似た新料金プラン「スーパーホーダイ」を開始しました。大手キャリアを運営母体に持つ両社を追走する構えです。
プラン内容はともかく、楽天モバイルは肝心の速度面において、これら2社と張り合うことはできるのでしょうか。楽天モバイル、UQモバイル、ワイモバイルの通信速度を比較してみました。
⇒ 楽天モバイルの「スーパーホーダイ」とUQモバイル、ワイモバイルの比較
= この記事の目次 =
計測方法
● 速度テストアプリ
使用した計測アプリはSpeedtest.net。8時から24時まで毎時間計測。
● App Store
App Storeでのアプリのダウンロード時間を計測し、転送速度を割り出しました。ネット利用者が増える8時、12時30分、18時、22時に実施。ダウンロードしたアプリは楽天銀行(32MB)。
● Safari
約90KBの画像20枚を挿入したhtmlページ(1.8MB)をSafariで開き、すべてのファイル(cssやジャバスクリプトなど全26個)を読み込むまでの時間を、Safari Webインスペクタを用いて計測しました。ウェブページを開いた際にiPhoneのステータスバーに出る、くるくる回っているアイコンが消えるまでの時間です。
計測した時間帯は8時、12時30分頃、18時、22時。それぞれ2回または3回ずつ、都度キャッシュを削除して計測。
ウェブページの読み込みに関しては、複数のファイルの読み込みが同時進行で行われるのに加えて、サーバーとの通信回数、反応速度など諸々のことが関わってくるため、データの転送速度を表す単位であるbpsではなく、読み込みに要した時間を記載しました。
使用端末、計測日、計測場所
使用した端末とSIMの組み合わせは以下の通り。
・楽天モバイル:iPhone SE(SIMフリー)
・UQモバイル:iPhone 6s(ドコモ版SIMロック解除)
・ワイモバイル:iPhone 7(ソフトバンク版SIMロック解除)
計測日:2017年8月30日(水)
計測場所:名古屋市中心部
計測結果
速度テストアプリのダウンロード速度
※ 速度の単位はMbps。
時刻 |
楽天モバイル |
UQモバイル |
Yモバイル |
---|---|---|---|
8時 |
33.21 |
51.48 |
50.44 |
9時 |
49.57 |
42.56 |
60.69 |
10時 |
47.78 |
30.76 |
70.73 |
11時 |
44.98 |
27.34 |
38.28 |
12時30分 |
1.88 |
47.60 |
31.35 |
13時 |
28.01 |
57.20 |
43.49 |
14時 |
44.05 |
20.13 |
41.83 |
15時 |
44.57 |
27.20 |
42.79 |
16時 |
42.55 |
33.21 |
64.04 |
17時 |
40.00 |
34.11 |
30.21 |
18時 |
24.39 |
53.27 |
33.92 |
19時 |
12.53 |
46.78 |
41.84 |
20時 |
26.18 |
9.90 |
44.98 |
21時 |
17.00 |
33.58 |
50.11 |
22時 |
19.68 |
44.82 |
24.60 |
23時 |
22.76 |
29.71 |
20.70 |
24時 |
48.20 |
33.75 |
48.53 |
App Storeでのダウンロード速度
※ 速度の単位はMbps。
時刻 |
楽天モバイル |
UQモバイル |
Yモバイル |
---|---|---|---|
8時 |
1.44 |
10.24 |
59.53 |
12時30分 |
0.21 |
73.14 |
58.18 |
18時 |
0.50 |
69.19 |
54.47 |
22時 |
4.20 |
67.37 |
30.84 |
Safari ウェブページの読み込み速度
時刻 |
楽天モバイル |
UQモバイル |
Yモバイル |
---|---|---|---|
8時 |
4.47秒 |
2.51秒 |
2.53秒 |
4.06秒 |
2.63秒 |
2.71秒 |
|
12時30分 |
72秒 |
2.45秒 |
2.65秒 |
90秒 |
2.68秒 |
2.46秒 |
|
18時 |
35.01秒 |
2.5秒 |
2.61秒 |
37.75秒 |
2.63秒 |
2.87秒 |
|
22時 |
2.62秒 |
3.06秒 |
2.91秒 |
2.18秒 |
3.06秒 |
2.92秒 |
まとめと評価
● 楽天モバイル
楽天モバイルの通信速度は、格安SIMの中でも遅い部類に入ります。遅いと言っても全時間帯で遅いわけではなく、ネット利用者の増える時間帯のみ遅くなります。今回の計測では、昼休みの真っただ中の12時30分と通勤ラッシュの18時でかなり速度が落ち込みましたが、朝の通勤ラッシュ時の8時はそこそこの速度、夜のピークの22時は結構な速度が出ていました。
速度テストアプリの数値を見ると、全時間帯でかなりの速度が出ていますが、これは実態を反映したものでは全くありません。楽天モバイルは恐らく、特定の通信のみを意図的に優先していると思われます。従って、いつ計測しても、速度テストアプリの数値だけは抜群です。
サイトの読み込み速度に関しては、楽天モバイルはウェブページを表示する際、画像の画質を半分程度に落として表示します。今回読み込んだページは1.8MBですが、実際にダウンロードされたサイズは1.06MBでした。従って、画像によっては若干の粗さが目につくこともあります(個人的には特に気になりませんが)。
⇒ 楽天モバイル:速度テスト結果の詳細
● UQモバイル
速度テストアプリの計測で10Mbpsを下回ったのは20時の1回のみ。その1回も9.90Mbps。その他の時間帯ではすべて20Mbps~50Mbpsを記録しました。文句なしです。 App Storeでの計測では8時に10Mbps、それ以外はすべて70Mbps程度でした。こちらも文句なし。ウェブサイトの読み込み速度に関しても、全時間帯で高速でした。
UQモバイルは昼時でも爆速ですし、App Storeでも速度が落ちることはありません。以前、UQモバイルが販売する以外のiPhoneでテザリングを使用した際、明らかに速度が遅かったですが、今ではそれも改善されています。
⇒ UQモバイル:速度テスト結果の詳細
● ワイモバイル
速度テストアプリとApp Storeでは、全時間帯で20Mbps以上を記録。サイトの読み込み時間もすべて2秒台。本家ソフトバンクに勝るとも劣らぬ速度でした。文句なしです。
⇒ ワイモバイル:速度テスト結果の詳細
● まとめ
テスト結果を見れば明らかなように、UQモバイルとワイモバイルの圧勝です。そもそも、KDDIグループのUQモバイルと、ソフトバンクが運営するワイモバイルに速度面で勝る格安SIMは他にありません。楽天モバイルは今回の12時30分や18時の計測のように、極端に速度が落ち込むことがあるので、あまりおすすめできません。素直に、UQモバイルかワイモバイルにしておくのが無難です。
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