格安SIMの選び方、失敗しないために知っておきたい10項目
格安SIMに乗り換えたいけれど、どれを選べばよいのかわからない!選択肢がありすぎて、正直面倒くさい!そんなことを思っているユーザーは多いと思います。
ドコモ、au、ソフトバンクの大手キャリア選びなら、ダーツで決めてしまっても結果はたいして変わりませんが、格安SIMはそうはいきません。MVNOによりサービス内容、通信速度は大きく異なります。
そこで、初心者の方でも自分に合ったベストなものを選べるように、格安SIM選びに際してこれだけは知っておきたい10のポイントをまとめてみました。
⇒ 格安SIM・MVNOって何? - 格安SIMの基礎知識 -
= この記事の目次 =
携帯キャリアとしての楽天モバイル
「格安SIMの選び方」に入る前に、2020年4月から携帯キャリアとしてのサービスを開始した楽天モバイルについて触れておかなければなりません。格安SIM業界の勢力図は、楽天モバイルがこれまでの常識を覆す大胆な料金プランを打ち出したことによって、大きく変わりました。
ネットと電話が使い放題で月額2,980円。しかも、キャンペーンの適用により、最初の1年間は無料。さらに、物理的なSIMカードを必要としないeSIMを利用できるため、主回線にこれまで利用してきたSIMカードを設定し、副回線に楽天モバイルのeSIMを設定するといったことも可能です。
⇒ iPhoneに楽天モバイルUN-LIMITのeSIMを設定する方法
ただし、楽天モバイルの回線エリアはまだまだ狭く、大都市圏に限られます。エリア外においては、au回線に接続して通信を行うため、月に使えるデータ容量は5GBに制限されます(5GB超過後は1Mbpsの速度で使い放題)。
このあたりの事情を考慮して、楽天モバイルを契約するかどうかを検討してください。
通信回線による違い
格安SIM各社は自社の通信回線を保有していないため、すべての事業者(MVNO)はドコモ、au、ソフトバンクのいずれかから通信回線を借り受けてサービスを提供しています。ソフトバンクで購入したスマホにドコモのSIMカードを入れても通信ができないように、ソフトバンクで購入したスマホにドコモ回線を使用する格安SIMを入れても使えません。キャリア各社が、自社で販売したスマホを他社の通信回線で利用させないために、SIMロックをかけているからです。
従って、キャリアのSIMロックがかかっているスマホで格安SIMを使う場合、そのキャリアの通信回線を使用する格安SIMを契約する必要があります。また、当然ですが、SIMフリーのスマホやSIMロック解除済みのスマホは通信回線による縛りを受けないため、基本的にどの格安SIMでも使えます。
2018年現在、格安SIMの多くはドコモ回線を使用していますが、au回線とソフトバンク回線の格安SIMも徐々に増えてきました。以下の表は、主要格安SIMを回線別に分類したものです。
ドコモ回線 |
au回線 |
ソフトバンク回線 |
---|---|---|
SIMカードの種類
画像 - OCNモバイルONE
SIMカードには、大きさが異なる3タイプのSIMが存在します。iPhoneもモデルにより使用するSIMカードが異なるので、どのSIMカードを選べばよいのか確認しましょう。
- ・標準SIM(初代iPhone、3G、3GS)
- ・micro SIM(iPhone 4、4s)
- ・nano SIM(iPhone 5以降)
データ専用SIMか通話SIMか
格安SIMは以下の3つに大別されます。
- ・電話、データ通信、SMSができるSIMカード
- ・データ通信専用SIMカード
- ・データ通信専用SIMカードにSMS機能を付けたSIMカード
このタイプのSIMカードは、皆さんがドコモやソフトバンク、auで使っているSIMカードと同等の機能を持ちます。090 / 080 / 070から始まる携帯番号が付与され、電話はもちろん、SMSの送受信、データ通信が使えます。
MNPで他社から携帯番号を持ち込む場合は、このSIMカードを選ぶことになります。電話ができない他の2種類のSIMカードと比べて、月額料金が約700円高くなります。
■ データ通信専用SIMカード
電話とSMSが必要ない場合は、このタイプのSIMカードを選びます。月額料金を一番安く抑えられます。電話やSMSの代替には、LINEやSkype、IP電話などを使えばとりあえずはやっていけますが、完全な代替とはなりません。
IP電話の通話料金が安いからといってうかつにこのタイプのSIMカードを選ぶと、後で後悔することになりかねません。電話は家族や友達とたまにする程度という方なら、データ通信専用SIMカード+IP電話の組み合わせで問題ないと思います。
ちなみに、データ通信専用SIMカードにも電話番号は付与されますが、実質的な使い道はありません。
■ データ通信専用SIMカードにSMS機能を付けたSIMカード
データ通信専用SIMカードにSMS機能のオプションを付けたSIMカードです。オプションの月額料金は通常120円~150円程度。SMS機能が必要かどうかですが、必要性を感じなくても付けたほうが良いです。
普段、SMSでメッセージを送る機会はほとんどないと思いますが、LINEやGoogleなどのウェブサービスでSMS認証が必要なときがありますし、SMS機能がないことで、データ通信ができているのにアンテナピクト(iPhone画面左上の電波状況を示すアイコン)が表示されなかったり、バッテリの消耗が激しくなるなどの問題を引き起こす可能性があるからです。
iPhone 5c - データ通信ができるのにアンテナピクトが立たない。
格安SIMでもかけ放題プランが定着
格安SIMでもかけ放題プランが定着しました。2016年初頭に楽天モバイルが「5分かけ放題オプション」を始めたのを皮切りに、DTI SIM、IIJmio、BIGLOBEモバイル、OCNモバイルONEなどが続き、今では大手のほとんどが3分・5分・10以内の国内通話がかけ放題となるプランを提供しています。
ワイモバイルについては、10分かけ放題のほか、格安SIMでは唯一、通話時間・回数ともに無制限のスーパーだれとでも定額を提供しています。
データプランは4種類に大別される
● 使用できるデータ容量が毎月一定のプラン
最も一般的なプランがこのタイプ。毎月使えるデータ容量が決まっており、データを使い切ると速度が制限(200Kbps)されます。1ヶ月単位で容量が規定されるのが一般的ですが、OCNモバイルONEのように1日単位のプランを揃えるMVNOも存在します。
● 容量無制限タイプ
データ容量を無制限に使えるプラン。ただし、このタイプのプランは通常のプランより速度が落ちます。速度は落ちるが使い放題できるというのがウリですが、常軌を逸した容量を使うと何らかの制限がかかったり、そもそも、UQモバイルのように無制限プランでも直近3日間で6GBを使うと、速度を制限する場合があると宣言しているMVNOもあるので、文字通りの容量無制限とはならない点は留意しておく必要があります。
● 使った分だけタイプ
毎月の使用データ量に応じて料金が決まるのがこのタイプ。例えば、ソフトバンク回線を使用し電話とネットの両方が使えるb-mobile S 990ジャストフィットSIMは、1GBまでが月額990円、以降10GBまで1GBにつき500円、10GB~15GBまでは1GBにつき350円加算され、使った分に応じて月額料金が決まっていきます。データ容量に無駄が生じないので、最も合理的なプランといえます。
● 複数回線でシェアするタイプ
毎月決められたデータ容量を複数回線でシェアして使うタイプのプラン。一人で複数枚のSIMカードを使ったり家族で使う場合は、このタイプのプランを契約するのが一番おトクになります。
⇒ 家族・複数回線向け:データ容量をシェアできる格安SIM比較
通信速度は格安SIMにより大きく異なる
ワイモバイルやUQモバイルなどいくつかの例外を除けば、格安SIMの通信速度は大手キャリアと比べると遅いです。本家ドコモやauのようにいつでも超高速ということはありません。もし格安SIMが「いつでも超高速」を実現したとすると、毎月の料金が跳ね上がり格安ではなくなるでしょう。なので、格安SIMに「いつでも超高速」を求めること自体がナンセンスです。
といっても、格安SIMでも平日昼の12時20分~12時50分頃や帰宅ラッシュの時間帯を除けば、速度の遅さが気になることはほとんどありません。通信速度はMVNOと時間帯により大きく変わってくるので、当サイトが定期的に実施している通信速度テストを見て確認してください。
スマホでウェブページを快適に閲覧するには、ざっくりとですが、2Mbps~2.5Mbps程度の速度が必要です。最低でも1Mbps~1.5Mbpsあれば概ね普通にウェブサーフィンができるレベルです。1Mbpsを下回っても中程度のサイズのページなら結構普通に閲覧できますが、0.5Mbps辺りになると「遅い」と感じることが多くなってきます。それでも我慢できないというほどでもありません。0.5Mbpsを下回ってくると、我慢の臨界点を超えるレベルに突入します。
ちなみに、データ容量を使い切ったり、直近3日間のデータ消費量が規定値を超えたときは、通信速度が200Kbpsに制限されます。200Kbpsと聞くと絶望的な感じがするかもしれませんが、意外と多くのことができたりします。
テザリングでPCをする場合ですが、PCサイトはスマホに最適化されたサイトと比べてサイズが大きくなるので、速度は上記であげた数値の1.5倍程度が必要となります。
通話SIMの解約手数料
一般的にデータ専用SIMの解約には利用期間に関わらず違約金は発生しません。まれに、違約金を取るMVNOを見かけますが超例外です。一方、通話SIMの解約にはほとんどのMVNOが条件を設けています。最低利用期間は6ヶ月から12ヶ月程度。この期間内に解約すると、違約金が8,000円〜10,000円程度発生します。
mineoやFreetelのように、通話SIMの解約に違約金を課さないMVNOも存在しますが、代わりに、MNP転出料が10,000円超に設定されています(通常は3,000円)。
⇒ 格安SIM比較:最低利用期間と解約時の違約金
専用アプリと低速モードの有無
いまや格安SIMのスタンダード機能になりつつある「低速モード」。データ容量を消費する高速通信と、消費しない低速通信を専用アプリなどから切り替えることで、データ容量を節約することができます。
通常、低速モードを備えるMVNOは専用のアプリを無料で提供しています。低速モードのオン・オフ、データ消費量と残量の確認、データ容量の追加などをアプリから行うことができます。
左:楽天モバイル、中:mineo、右:OCNモバイルONE
専用アプリがあれば、アプリをワンタップで開くだけでこれらの操作ができるので、専用アプリの有無は、格安SIM選びでチェックしておきたい項目の一つです。
なお、専用アプリの提供をしていないMVNOの場合、ウェブブラウザからIDとパスワードを入力して管理画面から操作を行います。
複数回線契約に対応しているか
画像 - IIJmioファミリーシェアプラン
家族で使う場合や一人で複数のSIMカードを使う場合は、データ容量をシェアできる格安SIMを選びましょう。別々に契約するよりも料金が安くなります。例えば、父、母、娘の家族3人でDMM mobileを使うケースを想定してみましょう。
3人ともデータ専用SIMを利用し、以下のプランに別々で申し込んだ場合
- 父:2GBプラン = 770円/月
- 母:1GBプラン = 480円/月
- 娘:7GBプラン = 1,860円/月
データ容量の合計は10GB、月額料金は3,110円になります。
一方、DMM mobileのシェアコース10GBプランに申し込むと、月額料金は2,190円になり、別々で申し込んだ場合と比べて月に920円節約できることになります。しかも、3人で10GBをシェアするため、データ容量をより効率的に使うことができるのです。注意点としては、3人のうち誰かが使い過ぎると、他の人に迷惑がかかることでしょうか。
これはほんの一例ですが、もちろん、上記3人のうち1人がデータ専用SIM、残りの2人が通話SIMといったように、色んな組み合わせが可能です。
⇒ 家族・複数回線向け:データ容量をシェアできる格安SIM比較
迷ったら、UQモバイルかワイモバイルにしておけば間違いなし
選ぶのが面倒くさい方は、格安SIMのシェアを参考にして選んでみてはいかがでしょうか。結論から言ってしまうと、今最も人気のある格安SIMは、ソフトバンクのワイモバイルとKDDI傘下のUQモバイルです。これら2社が、格安SIM新規契約の半分を占めていると言われています。格安SIM選びに迷ったら、ワイモバイルかUQモバイルにしておけば間違いありません。
そのうえで、以下に民間調査会社のMMD研究所が2020年3月に公表した格安SIMのシェアを紹介しておきます。
当然ですが、上位にランクインしているのはどれも大手ばかりです。シェア1位の楽天モバイルは携帯キャリアとしてのサービスを開始したため、格安SIMサービスはすでに新規申し込み受付を終了しました。
2位のUQ mobileはKDDIを親会社に持つUQコミュニケーションズが運営。通信速度に関しては最強です。3位のmineoは関西電力系列のケイ・オプティコムが運営していて、ソフトバンク・ドコモ・auから回線を選択できます。4位のOCNモバイルONEはNTTの子会社であるNTTコミュニケーションズが提供。ブランド力は最強です。5位のIIJmioは日本で初めてインターネットサービスプロバイダ事業を手掛けたIIJが運営元。eSIMを利用できるのが強みの格安SIMです。
なお、ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルは独自の回線網を保有しているため上の表には出てきませんが、ワイモバイルを格安SIMのカテゴリに入れると、シェア1位は大差でワイモバイルになります。
MMD研究所の同調査によると、ワイモバイルのシェアはドコモ(32.4%)、au(26%)、ソフトバンク(18.4%)に次ぐ第4位でシェア6.3%。格安SIM全体のシェアが14%ということを考えると、その人気は圧倒的といえます。
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