サムスンがiPhone 6を恐れる6つの理由

左:サムスンGalaxy S5、右:アップルiPhone 5s
これまでの数年間は、サムスン電子にとっての黄金時代だったと記憶されることになるかもしれません。アップルがiPhoneでスマートフォンという現代的製品の定義づけを行っているあいだに、サムスンは急速に成長を遂げていたからです。市場調査会社IDCによると、2010年以降のスマートフォン市場でサムスンのシェアは31%にまで拡大。一方でアップルのシェアは、2013年末時点でかろうじて15%でした。
しかしここへきてようやく、アップルはサムスンに勝つ十分な材料を手に入れたようです。9月9日、iPhone 6と、長らく待ち望まれてたiWatchが発表される見通しです。iPhone 6はスクリーンが大型化し、モバイル決済などいくつかの新機能を搭載すると伝えられています。さまざまな情報をつなぎ合わせると、Galaxyに代表されるサムスンの時代に終わりを告げる、アップルの重要な潜在的変化がみえてきます。米Bloombergが伝えています。
大型スクリーンの競争激化

2007年の発売以降iPhoneのスクリーンは0.5インチしか大きくなっていません。そのころ世界では、大型スクリーンに対する需要がとどまるところを知らず、サムスンはその恩恵を最も受けて来ました。昨年は、スクリーンサイズが4.5インチより大きいデバイスが市場の3分の1を占め、今年はその割合が44%に増えると予測されています。
そしてついに、アップルも大型スクリーンを導入します。iPhone 6のスクリーンサイズは、4.7インチと5.5インチの2種類になる見通しです。米パイパージェファリーのアナリスト、ジーン・マンスター氏は「サムスンにはここ数年実質的なライバルがいなかったため、全てがうまくいっていたが、(アップルの参入で)競争の優位性は消え去るだろう」と述べています。
モバイル決済の導入

iPhone 6にモバイル決済のプラットフォームが搭載されることはほぼ確実とみられています。Visa、MasterCard、アメリカン・エキスプレスと契約を交わしたことが報じられ、データを安全に伝送するための無線チップがデバイスに搭載されていることも伝えられています。
カード業界に詳しいコンサルタントのリチャード・クローン氏は、ユーザーが財布を持ち歩くことを止めない可能性や、モバイル決済に必要な機器が店舗に導入されるまで時間がかかる可能性もあると指摘しています。
しかしそれでも、Googleに比べれば、アップルは消費者の行動を変える十分なチャンスを握っているようです。Googleは、ハードウエアのメーカーや通信キャリア、小売店などに、Googleウォレットの良さを説得することに手こずっていますが、アップルには、クレジットカードとデビットカードを利用している8億件にのぼるiTunesアカウントがあります。
最近、有名人のアカウントのハッキング事件が発生したため、アップルはセキュリティの懸念に対して消費者に何らかの説明を行う必要があるかも知れませんが、それが成功すれば、サムスンがiPhoneの顧客を奪うことはますます難しくなるとみられます。
スマートウォッチ

サムスンは少なくともこの1年は、スマートウォッチを製造してきました。今年5月には、自らをウェアラブル市場の中心に据えようと目論んだ派手なイベントを行い、デバイスやアプリの作成に使用できるソフトウエアとハードウエアのセット、SamiとSimbandを発表し、8月28日にはスマートウォッチも発表しました。
しかし米レイモンド・ジェームスのトラビス・マッコート氏によれば、これまでのところその勢いはほとんど感じられず、「サムスンはスマートウォッチにこれ以上取り組むことはないだろう」とのこと。
アップルのiWatchは、来年初頭まで発売されないと報じられています。前出のマンスター氏は、アップルストアの店頭に並ぶころまでに潜在的需要が十分に高まるはずだから、それで問題はないと述べています。iWatchがスマートウォッチの主流になれば、サムスンはこの市場から完全に締め出されるかもしれません。
企業向け市場への野望

アップルは企業向けスマートフォンとタブレットの主要な供給者で、世界の巨大企業の90%以上がiOSデバイスを導入していると言われています。アップル製品のシンプルさは、従業員が個人所有のiPhoneやiPadを業務で使用することを、企業に受け入れさせる動機につながっています。
したがってサムスンがより多くの企業を手に入れるには、さらなる努力が不可欠となってくるでしょう。その際の課題の1つがAndroid OSへの依存です。Androidユーザーで最新のOSを実行している人は、全ユーザーの5分の1に過ぎないといわれています。このためサムスンは、さまざまなアプリに異なるバージョンを用意しなければならず、新たな攻撃に対する脆弱性をも生んでいることが指摘されています。
このフラグメンテーションを解決するため、サムスンは、従業員のモバイルデバイスを管理するIT部門向けプログラムSafeや、セキュリティソフトウエアKnoxなどを開発して、Android関連の問題修正に取り組んできました。しかしこれまでのところ、その取り組みは失敗に終わっているようです。
アップルは、今年7月に古きライバル、インターナショナル・ビジネス・マシーン社(IBM)との提携を発表し、企業向け市場にこれまで以上に真剣に取り組む姿勢を見せています。米フォレスターリサーチのアナリスト、フランク・ジレット氏は「IBMと提携することで、アップルは企業向け市場を積極的に攻めかつ守ろうとしている」と述べています。
ジョブズ氏の次の「声」

2011年にスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったとき、アップルはCEOと技術的先見性を失っただけでなく、象徴的な広告キャンペーンで数々の成功を収めた偉大なセールスマンをも失いました。以降、アップルは記憶に残らない広告ばかり量産しています。
一方、サムスンの広告代理店72andsunnyは、アップルの偉大な遺産を模倣する優れた仕掛けで、急所を突く広告を展開しています。
しかし、最近のアップルの広告は、同社の製品が人々の生活をいかに豊かにするかを描いています。このキャンペーンの出来は上々のようで、サムスンの広告を平均で上回る結果を残しているようです。ボストン大学の広告学教授エドワード・ボチェス氏は、アップルはようやくジョブズ氏の次の「声」を見つけることを始めたようだと述べています。
長年のアップルウォッチャーには、9月9日のイベントはジョブズ氏の懐かしさに溢れるものとなりそうです。ジョブズ氏が1984年にマッキントッシュを、1998年にiMacを発表したその場所で開催されるからです。ジョブズ氏亡き後、アップルのカンファレンスはいくらか輝きを失ったようにみえますが、それでも目的は確実に達成しています。サムスンのライブパフォーマンスは必ずしもそうではありません。
アップルを愛する開発者たち

サムスンが優れた業績を上げていた近年、アップルは停滞が続いていました。2010年のiPad以降、アップルは新しいカテゴリの製品を発表していません。しかしそのおかげで、開発者たちはアップルのモバイル機器に慣れ親しむ十分な時間を持つことができました。彼らは120万個を越えるアプリを開発し、200億ドルを超える売上をもたらしています。その数はAndroidをはるかにしのいでいます。
「アップルが素晴らしいユニークな新製品で一気に勢いを加速すれば、そのときは真にサムスンを驚愕させることになるだろう」と前出のマンスター氏は述べています。
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