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NTTドコモ逆襲開始? 起死回生の音声定額+家族向け新料金プラン発表

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NTTドコモは10日、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を発表しました(提供は6月から)。「カケホーダイ」は定額で音声電話が完全かけ放題となるもので、スマートフォンやタブレットの場合は月額2700円、従来型のケータイ電話(フィーチャーフォン)の場合は2200円(ともに定期契約要)で国内通話は無制限で「カケホーダイ」となります。日本経済新聞電子版でジャーナリストの石川温氏はこれを、NTTドコモの逆襲、「iPhone導入後も続いている一人負け状態からの巻き返し」と見ています。

「パケあえる」の方は「データ通信量(パケット)を分け合える」という特徴をもち、一定のデータ通信量を家族全員(最大10人まで)でシェアできるようになります。料金は10GBで9500円、15GBで1万2500円、20GBで1万6000円、30GBで2万2500円。これまでは3GBや7GBと個別に制限が設けられていて、かりに通信料が余ってもそれを他に回すことはできませんでしたが、「分け合える」ことにより無駄なく使用することができます。iPhone導入後も他社キャリアに流出していたユーザーを、家族丸ごと取り戻そうというNTTドコモの意欲的なプランです。

スマホは通話料金が高い

一般にスマートフォンユーザーは「通話料金が高い」との不満をもっていますが、他方、「楽天でんわ」や「LINE電話」など安価な通話システムが登場して、絶大な人気を集めている現状があります。従来の携帯キャリアも、このような格安電話サービスにごっそり顧客を持っていかれるぐらいなら、定額制を導入してでも顧客を引き留めておきたいとの考えになるのは無理もありません。

通話にかかるコストは1分あたり2~3円程度で、他者宛ての長電話を頻繁にされることでもないかぎり、コスト的には大きな問題とはならないと言われており、約6000万件の契約数をもつNTTドコモであれば、他社宛ての長電話の数も相対的に少ないだろうとの目算から、今回の大胆なプランが立ち上がったのかもしれません。

因縁のiPhone

いわゆるガラケーの時代、「家族まるごとドコモ」というプランの世帯が多いものでした。家族全員の基本料金が安くなるとの理由から、多くの人々に選ばれていました。しかしiPhoneの登場で、子供や若者がiPhoneに飛びつくようになり、家族まるごとNTTドコモの構図が崩れていきました。なぜならNTTドコモは、iPhoneの取り扱いをしなかったからです。

またライバルのKDDIの「スマートバリュー」の影響も大きく、「KDDIのサービスを利用すれば、家族全員のスマホ代が安くなる」とのことで、NTTドコモからKDDIへ、ユーザーが家族丸ごと大移動するという現象も起こりました。

このような苦戦は、NTTドコモのiPhone導入後も続いており、NTTドコモは何とかして打開策を打ち出す必要に迫られていたのでした。

起死回生か?

しかし今回の家族間でデータを分けることができる新料金プランは「起死回生」の効果が期待されています。この新料金プランの開始は6月1日ですが、6月2日には米国のサンフランシスコでアップルの世界開発者会議(WWDC)が開催されます。ここで新製品が発表される可能性があり、iPhoneへの注目度はぐんと高まります。

他社に奪われた家族丸ごとのユーザーを、NTTドコモは今回の新プランで奪還できるのでしょうか。iPhoneが使いたくて他社に流れた多くのユーザーを、今まさにiPhone取り扱いをするNTTドコモが、格好の機会に乗じて取り戻そうとする動きです。今後の展開から目が離せません。

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