アップル、アンドロイド向けiTunesを検討中
Billboardによると、アップルはオンデマンド形式のストリーミングサービスを検討しているようです。これによりユーザーは、好きな楽曲を購入することなく視聴できるようになります。ちょうどSpotifyのように登録すればいいだけです。Billboardはまた、アップルがアンドロイドユーザー向けのiTunesアプリをリリースするとしており、もしこれが実現すれば、iTunesアプリ6年の歴史の中でも際立った展開となること間違いなしです。米国のThe Vergeが伝えています。
アップルのiTunes Radioは無料かつ広告ありのサービス。ユーザーは楽曲、アーティスト、ジャンルをもとにステーションを構築できます。アップルはセレブなDJらと組んだり、新アルバムリリースを参照して、キュレーションも施してもいます。年間24.99米ドル(約2548円)をアップルのiTunes Matchサービスに払えば、広告無しとすることもできます。ただし個々の楽曲をiTunesを通じて購入する場合は、支払いをする必要があります。Billboardによると、アップルと各レコード会社はすでに、有料ストリーミングサービスに関して交渉を進めているようです。
スティーブ・ジョブズがかつて、iTunesをWindowsに、後にはiTunesをアンドロイドに取り入れるという案を却下したことはよく知られています。ウォルター・アイザックソンの伝記で、ジョブズは、「われわれのミュージックアプリをアンドロイド向けにリリースするメリットなんてないよ。アンドロイドユーザーを喜ばせるだけじゃないか」と言ったとされています。そして「わたしはアンドロイドユーザーを喜ばせたくない」と付け加えました。しかしティム・クック現CEOは異なる考えのようです。同社アプリを他陣営に送り込むことに「宗教上の問題」はないと、クックCEOは述べています。
Billboardは先週のLos Angeles Timesの記事にならい、アップルが同社の売上を盛り立てるため、多数の独占的なアルバムリリースを追い求めているとしています。最近ではビヨンセのサプライズアルバムがiTunesで最速の売行きを示しましたが、この路線を進むつもりのようです。この背景には、アルバムおよび各楽曲の売行きが伸び悩んでいる現状があり、調査会社ニールセン・サウンドスキャンによると、米国の今年最初の8週間においては、アルバム13%、各楽曲11%の落ち込みです。
iTunes Radioは、SlackerおよびPandoraのような最近流行りの無料ストリーミング音楽サービス、またSpotify、Rdio、Beatsのようなオンデマンド音楽サービスへのアップルなりの対抗策です。アップルは、ユーザーがiTunesで楽曲のフルバージョンを購入するよう働きかけていますが、現状、iTunes Radioは、米国とオーストラリア限定のサービスに止まっています。