iWatchの全貌に迫る - 英紙Guardian
アップルが「iWatch」を開発中であるとする噂は過去たびたび報じられてきましたが、最近のアップルの動きは、このスマートウォッチのリリースが近づいていることを示唆しているように見えます。いったいこのiWatchとはどんなデバイスなのでしょうか?英紙Guardianがその全貌に迫ります。
SmartWatch 2 - Sony
私たちがアップルのiWatchに期待するものは、たくさんあります。願わくば、スマートウォッチが有用なウェアラブル技術であることを証明する決定版となって欲しいものです。
スマートウォッチに対する我々の"ウィッシュリスト"で最も重要なアイテムは、スマートフォンではできないことを実行する機能でしょう。音声制御、予測アシスタント、カメラなどは、スマートフォンにすでに備わっています。スマートウォッチが真に価値を加えることができるとすれば、それは健康管理の領域です。
健康情報を提供するセンサーを搭載したスマートウォッチは、数多くの興味深い"データ駆動型アプリ"の実現を可能にします。たとえばフィットネス情報を記録するものから、心拍数によって気分に合わせた音楽を再生するものまで。
「もちろんだ。変更はない」
アップルがスマートウォッチを開発中であるとする噂は、何年も前から流れていました。アップルはその間、少なくとも、ウェアラブルデバイスの可能性について調査を行っていたようです。例えばiPadは、2007年にiPhoneがリリースされるよりも前から、試作品レベルで開発が行われていましたが、実際に世に出たのは2010年です。
アップルは昨年7月、ロシアと日本で「iWatch」という商標を登録しました。しかし、この商標がイタリアの企業によってすでに保有されているヨーロッパでは、登録を行っていません。
巷では、先月の業績発表の際に新しい製品カテゴリについて問われたCEOのティム・クック氏が、「もちろんだ。変更はない」と語って順調さをアピールしていたことが、話題となっています。
「私たちはみなさんがまだ目にしたことのないものを開発している。私たちは、自分たちがやりたいことを思いつき、それを大きな方法で拡張することができると考えている。大事なのは、全エネルギーを注ぐに値する非常に限られたものに、常に意識を集中することだ」(ティム・クック氏)
規制環境の調査
アップルは、2013年12月に米国食品医薬品局(FDA)と会談を行ったと報じられました。FDAは、米国内の食の安全、医薬品販売、医療装置の承認等の監督を行っています。
会談には、アップルのオペレーション担当上級副社長ジェフ・ウィリアムズ氏、ソフトウェア・テクノロジー担当副社長バド・トリブル氏、政府業務担当副社長キャシー・ノヴェル氏、米国マシモ社の元医療上級副社長マイケル・オライリー氏といった幹部が出席。
FDA側の出席者は、医療機器・放射線保健センター長官のジェフ・シュレン氏、医療用モバイルアプリの指針を策定し医療用ガジェットの承認を担当する上級政策アドバイザーのバクル・ペタル氏です。
幹部クラスが出席していることから、アップルは現在、医療用機器やアプリに関する規制環境の調査を行っているか、または規制の承認に関する課題を克服しようとしているか、いずれかの状態にあると考えられます。
「センサーの領域全体が拡張し始めている」
アップルが、自社のアプリやハードウエアに、医療向けの用途を検討していることは明らかです。アップルは、iPhone 5sにM7コプロセッサを搭載しており、低電力のセンサーを利用した技術の構築に実績があります。この技術は、センサー内蔵型のスマートウォッチに不可欠なものとなるでしょう。
M7チップは、電力を消耗するメインプロセッサに頼ることなく、GPSや加速度計といったスマートフォンの様々な内蔵センサーからデータを収集することができます。
ティム・クック氏は、2013年のインタビューで「センサーの領域全体が拡張し始めている」と語っています。「あらゆる場所でそれは起こっている。時間が経てば、より明確になるだろう」。
「Healthbook」アプリ
米国の9to5macは、健康およびフィットネスのトラッキング機能は、次世代iOSで採用されると伝えました。消息筋によると、そのアプリはHealthbookという名前で、歩数やカロリー計算、歩行距離などのフィットネスデータを収集し、記録することができるとのこと。
また、医療や健康関連のデータもトラッキングし、心拍数や血圧だけでなく、血糖値のような血液関連のデータも扱えるようです。
アップルは、血圧のモニタリングなど、「感覚情報」の収集技術の特許を保有しています。ただし、その技術がスマートウォッチに採用できるほど成熟しているかどうかは不明です。
スマートフォンの第2の画面
サムスン、ソニー、ペブルなどのスマートウォッチがつまづいた理由の1つは、機器の自立性です。現在入手できるほとんどのスマートウォッチは、Bluetoothに接続しているスマートフォンやタブレットに依存しています。
iWatch自体は、スマートフォンの第2の画面となり、通知を表示したり音楽を制御したりといったシンプルな機能を実行します。100ポンド(約1万6000円)を越える値がつきながら、かさばるアクセサリーを身に付けることを消費者に説得できるだけの「キラー機能」が欠けているのです。
アップルが他のスマートウォッチ・メーカーより有利な点は、iPhoneとiPad双方のソフトを完全に制御できる点でしょう。サードパーティの製品よりも優れた統合やインタラクティブ性を達成できるはずです。
サムスンはGalaxy Gearで似たポジションを築いていますが、自社のスマートフォンやタブレットで使用するアンドロイドのソフトウエアは作成しておらず、悪名高き「TouchWiz」のインターフェイスをカスタマイズしただけになっています。
iOS 8と同時に
アップルは、iWatchの音声制御やアシスタント機能にSiriを活用するでしょう。また、iPhoneやiPadで慣れ親しんだスワイプの動きも生かすでしょう。
アップルは、小型タッチスクリーンのインターフェイスですでに実績を積んでいます。最初の製品は、2010年9月に発売された、タッチスクリーンで音楽を制御できるiPod nanoです。そのとき、デバイスに内蔵された時計盤の機能を使ってiPod nanoを時計に変えることの出来る、手首に巻くストラップのアクセサリも発売しています。
もしiWatchが今年中に発表されるならば、iOS 8の発表と同時となる可能性が高いとみられます。iOS 8は、6月に発表され9月にリリースされると予測されています。
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