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デザイナー目線で見るiPhone 5sの緻密な作り込み - 日経の分析

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アップル最新のiPhone 5sは、昨年秋発売されたiPhone 5とデザインは同一と思われていますが、よく吟味して見ると、その装飾上の工夫において数多くの改良点がある模様です。日本経済新聞電子版は12日、「細部に宿る美意識、iPhone 5s『驚きの外装加工』 」と題して、iPhone 5と比べてiPhone 5sがどのようなディテールにおいて緻密な洗練を加えて改善されたかを検証しています。

外装ボディのコストは破格

スマートフォンのボディ(筐体)にかかるコストは通常、1000円強と言われています。メーカーは当然ながら、部品などにかかるコストをできるかぎり抑えたいと企業努力をしていますが、iPhone 5sの外装ボディのコストは、電子機器の専門家らの見立てによると、なんと約4000円とのこと。いかにiPhone 5sの外装部品に、こだわり抜かれた作り込みがなされているかが分かります。

もちろん製造期間が長くなれば、量産も順調化し、さらにコストが下がり、3000円ほどにまでなるとのことですが、それでも通常のスマホの倍以上のコストがかかっている計算です。これだけお金をかけてでも、アップルは外装デザインにこだわり抜く姿勢というわけで、なかなか他社では真似のできないことです。ちなみにiPhone 5cの筐体コストは200~300円と見られており、まあこれは素材が金属ではなく樹脂ですから、ちょっと比較するのは無理があるかもしれません。

その意匠は「時計作り」の域

ある携帯電話のデザイナーによると、アップルのデザイン外装に対する姿勢は、家電の域を超えて「時計作り」の域にあるとのこと。家電メーカーのモノ作りの常識からは考えられないレベルの細部のクオリティーへのこだわりが感じられるそうです。

パッと見たかぎり、iPhone 5とiPhone 5sの外見には違いがないように見えます。しかし例えば、電源のボタン穴の形状など、よく見ると明らかに違っています。iPhone 5ではボタンの周囲にすき間がありますが、iPhone 5sはそのすき間がありません。

iOS 7になって大きく様変わりしたユーザーインターフェースは、俗に「フラットデザイン」と呼ばれていますが、これに合わせるようにして、小さなボタンもその立体感を抑え、フラット(平面)にされたのではないかと憶測されています。どんな細部にも手を抜かないアップルのこだわりが感じられるところです。

iPhoneのリンゴマークやロゴについても、iPhone 5に比べてiPhone 5sは進化しています。両者の外装は陽極酸化処理が施されていますが、その処理の精度がiPhone 5sでは上がっており、iPhone 5ではエッジが二重に見える箇所も、iPhone 5sではずいぶんとシャープな印象になっています。

肉眼では判別不能。画像 - 日本経済新聞

他にも、スピーカー穴の奥にはメッシュが見えますが、その模様の角度がきちんと揃えられており、細部への配慮が徹底されています。

美意識は内部にも浸透

iPhone 5とiPhone 5sの違いは外見ばかりではありません。本体内部の回路基盤においても、両者は異なっており、例えば「コイル」と呼ばれる電子部品の角に丸みをもたせるなど、細かい改善がなされています。回路基盤のデザインはiPhone 5sになって、メーン基盤の面積が6~10%縮小し、そのぶんバッテリー容量のアップにつながっています。

電子機器の細部への緻密なこだわりは、一般に日本人が得意とする分野ではないでしょうか...。アップルに見習うというよりも、アップルが「日本的モノ作り」をさらに高いレベルでやってのけてしまったというのが実情かもしれませんね。

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