スマホ向けとしては世界初!iPhone 5sの64bitプロセッサー、本当に必要か?
新iPhone 5sはスマートフォンとして初めて、64bitプロセッサー搭載となりました。果たしてこの64bitプロセッサーなるもの、本当に必要なのでしょうか?米国のTIMEがこの疑問に答えようとしています。
いきなりですが、その答えは、必要なし。今日まだ、A7プロセッサーの64bitを有効利用できるものが存在しないからです。少なくとも有意義な形では。
アップルの「64bitチップを初搭載」との主張は正しい。しかしこれは未来向けとしか言いようがありません。2160p(16:9の3840×2160ピクセル)のコンテンツが不在なのにUHDTVをサポートするテレビのようなものです。そのようなコンテンツはいずれ現れるでしょうが、しばらくはそんなお約束にお金を払うことになりそうです。iPhone 5s購入に際しては、他の機能および特徴をよく吟味して決断を下すようにするのがよいでしょう。
他方、アップルの主張と、アップルが言ったとするメディアの主張は、めったに一致しません。iPhone 5sの場合もしかり。しかし、誇大な主張をするという過ちが許される理由はありません。
例えば:
アップルは発表イベントで、64bitでiPhone 5sは速くなると主張していない
アップルのマーケティング担当上級副社長であるフィル・シラー氏は9月10日、iPhone 5sを披露した際、「もっとも先進的な考えをもつフォンを作った」と述べました。これは誇張ではありません。それは確かに先進的な考え(将来を見据えた)です。また64bitアーキテクチャーにより、アプリケーションがさらに効率的な「近代的な命令セット」を採用する可能性があるというのも、シラー氏の要点ではありませんでした。ここで「可能性がある」というのは大切な言葉です。
アップルのA7システムは、A6よりかなり高速化する潜在性をもつと、シラー氏は述べました。CPU、GPUともに最大2倍は高速化すると。しかし忘れてはならないのは、64bitそのものよりもA7自体の方が重要だということです。シラー氏は続けて、A7のコアクロック速度の高速化、LPDDR3メモリーの高速化、クアッドコアPowerVRグラフィックスチップの高速化について述べました。これらはすべて独立した性能進化です。実際どれほど高速化するかは、別途ベンチマークテストを待つ必要ありです。
アップルの64bit採用は、単なる「マーケティングの失敗」ではない
Extream Techは、「64bitのA7チップはマーケティングの失敗。パフォーマンス向上にはつながらない」という記事を掲載しました。とても有益な内容ではありますが、このタイトルはちょっと否定的であり過ぎます。上述したように、アップルは、iPhone 5sの64bitプロセッサーが高速パフォーマンスに直結するとは述べていません。
しかし64bitを単に「失敗」とするのも正確ではありません。レジスタの効率、浮動小数点命令、メモリーのアドレス指定能力(アップルはいずれiPhoneに、4GBメモリーを搭載するでしょう)を考慮するとすれば。
ベンチマークテストがどんな結果になるかを見なければなりません。が、初の64bitのiOSゲームとなるInfinity BladeⅢを作成したスタジオのChAIR Entertainmentは、すでに数量化できる改善が見られたとしています。「判明したことの一つは、それが非常にパワフルであるということだ。64bitを内蔵するということは、命令プロセスがより効率化し、起動が格段に速くなる」と、同社の共同創設者ジェレミー・マスタード氏はMashableに語りました。
とは言えiOSアプリは32bit、64bitについては未知数だ
32bitアプリは、iOS 7自体を別として、A7の新64bitアーキテクチャーから恩恵を得ることはありません。iOS 7はしばらくの間、32bitと64bitの混ざった状況で存在することになります。これは後々、64bitに関した性能向上に帰着するかどうか未だ分かりません。やはりベンチマークテストを待つ必要ありです。Infinity BladeⅢをやってみて、本当に素晴らしい結果が見られるかどうか、ということです。来週iPhone 5sを手にして、64bitがどんなものか、自分の目で確かめましょう。
アップルは「64bit」を強調すべてきではない
消費者向け64bitチップメーカーはどこも、その数値を自慢しました。これは遡れば、任天堂のNintendo 64に端を発します。後にも先にも、64bitなるものを神話的レベルに持ち上げたのは任天堂のゲーム機しか存在しません。
誰かが最初に手掛けなければなりません。性能の向上はチップの潜在能力にかかっているのは明らかなので、それを自慢しないわけにはまいりません。繰り返しになりますが、アップルのiPhone 5sの肩書きには、「先進的な考えをもつ」とあります。それはその通りです。
しかし、どれほど先進的なのか?
やはり批判ありです。64bitの件だけで来週iPhone 5sを買うことにはならないでしょう。他に、A7の性能、機能向上したカメラ、指紋認証スキャナー、モーション・コプロセッサ、新たなカラフルな色揃えなどを考慮する必要があります。
しかし「この世代のiPhoneをスキップすべきかどうか?」と問い始めると、憶測と推測に限りがなくなります。先の見えない開発スケジュール、その展開、アップルがいつ次期iPhoneをリリースするか、不確定要素が多すぎます。
TIMEの筆者は、アップルの「先進的な考えをもつ」64bitへのシフトは賞賛しますが、当てにはしていないのこと。
あなたはどのようにお考えでしょうか。
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