日本国内電子部品メーカー増産体制に、iPhone 5S、Galaxy S4向け
日本経済新聞電子版は４日、国内電子部品メーカーが一斉にスマートフォン向け部品増産に乗り出したと伝えています。この背景には、スマホの２大覇者であるアップルとサムスンの新製品リリースが今後相次ぐとの見通しがあり、また昨今の円安基調の為替動向も増産に向けた動きを後押ししています。
アップルは今年、少なくとも今秋までにはiPhone 5Sをリリースすると見られているため、今夏までには部品供給面で磐石の構えを作っておく必要があります。他方、サムスンは４月、新フラッグシップモデルとなるGalaxy S４を発売済み。これまで社内で基幹部品を生産してきたが、スマホ市場の旺盛な需要にこれまで以上に応えるため、外部生産を増やす方向性にあります。
日本唯一のDRAM（ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー）専業メーカーであるエルピーダメモリは海外生産を開始し、セラミックスコンデンサで世界随一のシェアを誇る村田製作所は、主力製品の生産キャパを２倍に増加させています。
またコイル専業の東光は、電源回路用の小型部品の生産を今年度中に2倍以上増加させ、ソニーもＣＭＯＳ（相補性金属酸化膜半導体）センサーの供給を拡大させる予定です。
国内電子部品各社の増産の動きは、アップルの今秋の新製品リリース、サムスンのスマホ販売の好調ぶりを受けた形。米IT専門調査会社IDCによると、スマホの世界市場規模は2012年、前年比で約2億3000万台増の7億2200万台。2013年はやや伸び率は低下しますが、スマホの薄型化がトレンドとなり、高精密な部品を得意とする日本メーカーへの依存は高まっています。
しかし国内部品メーカーの経営環境は、スマホの販売動向次第という面があるため、アップルとサムスンという2社だけに過度に依存するのは危険です。よって他の部品供給先を確保することが、国内部品各社の喫緊の課題となっている模様です。
