「アップルは近々、画期的ネットサービスとキラーアプリを発表する」 - ドコモiPhone参入にも言及、米アナリスト
アップル幹部との会合を行ったばかりの米モルガンスタンレーのアナリスト、ケイティ・ユベルティ氏は11日、投資家に宛てた書簡の中で、「アップルは今年後半に新しいインターネットサービスを開始し、同時に"キラーアプリ"をリリースする」と述べたようです。AppleInsiderのレポートです。
ユベルティ氏によれば、アップルは来る6月のWWDC(世界開発者会議)において、ストリーミング配信やモバイル決済のような、新しいタイプのインターネット基盤のサービスに関する驚くべき発表を行うとのことです。アップルのインターネット・ソフトウェアサービス担当上級副社長のエディ・キュー氏は現在、iCloudやMapsのような既存サービスの改良を行っている最中ですが、同時に新しい戦略も計画中である、とユベルティ氏は述べています。
「アップルは、これらの新しいサービスのいくつかによって開発者またはユーザーに課金を行い、それがアップルの収益を押上げて大きなユーザー基盤をより良い収益につなげていく。例えば、フリーミアムモデルを利用したストリーミング音楽サービスを開始する可能性があります」。フリーミアムアプリは、ユーザーが製品を無料でダウンロードしたり利用したりできるサービスで、コストは広告費やアプリ内課金によって賄われます。特定の料金を支払うと広告が削除されるアプリもあります。
ユベルティ氏は、ケビン・リンチ氏の起用についても指摘しています。リンチ氏は、アドビ社で登録制のサービスやワイヤレスデバイスの開発を担当していました。ユベルティ氏は、リンチ氏の起用はアップルが新しい計画の発表を控えている予兆とみているようです。
アップルはインターネットラジオサービスを開発中でその名称は「iRadio」である、との噂もあります。しかしアップルとコンテンツ所有者との間で使用料に関する合意が得られず、手続きは止まっているようです。先週、「アップルはワーナーミュージックおよびユニバーサルミュージックグループと契約締結の寸前まで行った」というレポートが伝えられましたが、公式な発表にはまだ時間がかかるようです。
ユベルティ氏は、今年後半に、アップルの主な収入源である次世代のiPhone 5Sがその廉価版モデルと共に発表され、そこで新しいキャリアとして日本のNTTドコモと中国のチャイナモバイルが追加され、同時にiPhone 4SのSiriのようなキラーアプリの発表も見込まれる、と予測しています。
新しいアプリに関しては、アップルがすでにPassbookで開始しているモバイル決済を例に挙げています。そのような新しい機能がデザインの改良に代わりiPhone 5Sの売上げに貢献することになる、と述べています。
さらに、同氏は、アップルの年間総収益が約250億ドルから300億ドルに増加する可能性があることを指摘してキャッシュリターンプログラムが発表されるかもしれない、と述べています。アップルは配当利回りを最大2.5%から3%以上に増やすことでこれを達成し、一方自社株買いによって残りの現金を戻していくだろうとのことです。同氏は3月の書簡で、アップルは同様の配当と自社株買いによって、蓄えていた1370億ドルの現金の一部を返却していくだろうと述べていました。
モルガンスタンレーは、アップル株の目標株価を600ドルとして「オーバーウェイト」の評価を維持しています。