世界を変えたモバイル技術、iPhoneが可能にした3つのこと
アップル社の株価[AAPL]の話をするのも悪くありませんが、そのモバイルと消費財における同社の冒険を考慮すれば、当然ながら、世界を変えたモバイル技術についてじっくり考えることも時には必要です。他の何を差し置いても、スマートフォンはすでに世界を変えつつあります。米国のCOMPUTERWORLDが伝えます。
■農業におけるiPhone米国では農業、特に穀物を運搬するトラックなど輸送車への積載に、iPhoneが使用されています。どれだけの量の穀物がトラックに積まれたかをiPhoneがコントロールし、「ヘイ、俺、ロボット使ってるぜ!」的な風景が出現しているようです。
韓国では今年、メロン農家が地理的に散らばった1000個のグリーンハウスを管理するのに、モニターシステムを導入しました。このモニターシステムの遠隔操作により、農家は種蒔き、成長過程のチェック、水遣りなどが可能になります。グリーンハウスは、農家の中心部からは何マイルも離れていますが、これらのシステム(スマートフォンやPCでアクセス可能)で生産管理が可能となります。このおかげで時間的に余裕のできた農家は、昼寝もできているとのことです。
Trimbleと呼ばれる企業は、遠隔操作による種蒔きの管理システムを開発しています。この管理システムは、種蒔きばかりでなく、作物の生育などにも目が行き届いています。これらは、ウェブで管理することができるので、iPhone(または他のデバイス)が突如、農業の管理ツールとして浮上してきたわけです。かなり見込みのあるものだと言えます。
これらのソリューションは、特に発展途上国で有用です。携帯電話の使用がその人口の50%にまで拡大しています。一方、固定ブロードバンドや固定電話の普及率はほんの僅かです。
このような理由から3Gネットワークは国境を越えて急成長しています。インフラの管理者らは、固定されたシステムを導入するコストを考慮して、より節約できるモバイル用ブロードバンドの可能性を認識するようになっています。
これは農業従事者にとっても朗報で、生産性が向上することで、大型スーパーからの値下げプレッシャーに喘ぐこともなく、また食糧生産の完全に中央集権化されたシステムに抵抗できるようになる可能性も秘めています。
■医療におけるiPhoneiPhoneの健康ケアへの影響はよく知られています。すでに12,000を超える健康関連アプリが存在し、iPhoneを使った患者管理システムを導入している病院も増えています。このシステムはリアルタイムで検査結果を管理ステーションに送り、また患者がマルチメディア、娯楽、自分のカルテにアクセスできるようにもなります。
さらにイギリスでは、失語症に苦しむ脳卒中患者がiPad/Wiiのアプリを用いて、ジェスチャーでコミュニケーションをはかることができるかどうかをテストしている大学及び脳卒中協会があります。
今回の調査の結果分かったこととして、以下の事実があります。
― 米国の内科医の98%がすでにモバイルのソリューションを使用している。
― 医師の79%がiPadを好んで用いている。
マシーン・トゥー・マシーン(M2M)で接続された健康ケアデバイスの設置状況は、2020年までに7億7400万台に上ると予測されています。医療業界がアップル製品(iPhoneやiPad)によって与えられるセキュリティー面の安心感を好むことを考慮すれば、その確率はかなり高いものになるでしょう。
あるシステムでは、患者が腕時計を装着し、そのボタンを押せば、メール、ボイスコール、SMSなどを医療チームに送信することができるものもあります。このようなソリューションは、緊急性を要する場合の反応速度を高め、患者の命を救う可能性も高めることになります。
他にも、アルツハイマー症患者の50%が、行方不明後24時間以内に発見されないと、死亡またはけがをすると言われていますが、これにiPhoneのGPS機能を利用するなんてことは、誰もが直ぐに思い付きそうなものですね。
■戦場におけるiPhoneアメリカ陸軍は2009年5月から、駐屯地の現地人との意思疎通/通訳にiPhoneとiPodタッチを用いていました。アメリカ海兵隊は、捕虜の写真を中央のデータベースにアップロードするのに使うiPhone用アプリの開発をしていました。これらは現在、爆弾処理ロボットを誘導したり、無人飛行機からの遠隔ビデオを見るのに使用されています。
その年の後半には、アメリカの軍需製品メーカーであるレイセオンが、リアルタイムで地図上に敵と味方の位置をトラックすることができるソフトウェアOne Force Tracker (OFT)のようなiPhone用アプリを開発していました。
戦争に関することなので、ハッキングされる可能性のある商用ネットワークは信頼に欠けるため、機密性の高い安全なネットワーク上で動くiPhoneを使用したいと国防総省が考えるのは当然のこと。もっとも商用ネットワークは、戦時中使うことはできないでしょうが...。
国防総省は昨年、Defense Information Systems Agency (DISA)を通じて、アンドロイド及びiPhoneの戦場での使用に正当性を与えました。また米航空宇宙会社ボーイングとマサチューセッツ工科大学は、無人航空機を飛行させる目的で、米軍によって使用される可能性のあるiPhoneアプリの開発を始めました。
将来的には、iPhoneなどを用いたM2M技術が、戦場でも大規模に使用される様子は容易に想像がつくことです。ロボット戦争の時代が迫りつつあります。
以上が、COMPUTERWORLDの挙げる、iPhoneが私たちの生活を変える3つのことでした。食料、医療、戦争。iPhoneが生まれてまだ僅か5年です。つまり上記3つは、まだ始まりでしかありません。
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