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アップル新iPhone戦略、iPhone5以降はiPodのように多様化を遂げる?

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アップルの直近四半期の業績 は、iPhoneの売上がふるわなかったことで、赤信号が点滅し始めている状況です。iPhone 5への期待が、現在の売上にネガティブな影響を及ぼしていると見られています。アップルは今後、どんな戦略を取るつもりなのか?それは簡単、iPhoneの品揃えを多様化することになるのではないか...。アップル専門家であるジョニー・エバンス氏が、米COMPUTERWORLDに寄稿しております。

多様化戦略
かつてアップルはiPodでそうしたように、商品の多様化戦略を取る可能性があります。iPodミニ、iPodナノ、iPodタッチ、iPodシャッフルというように、新iPhone戦略もこの路線を行くかもしれません。一連のiPodはそれぞれ、少しずつ異なるユーザーに受け入れられました。iMacを覚えていますか。実にカラフルなラインナップでした。これにPowerMac(後のMacPro)、iBookが加わり、さらにMacの品揃えはMacミニ、MacBookProと多様化を遂げました。

iPadも、伝えられるところによると、7.85インチの小型版が登場すると言われています。

思えば、iPhoneに一つしかモデルがないことは、きわめてユニークな現象です。

アナリストも投資家も、iPhoneというものの存在に恐れをなしています。というのも、アップルの全収益のうち72%をiPhoneとiPadが占めているわけです。最もよく売れる製品を毎年1回アップグレードするというのが、現在のアップルの方針のようですが、これは常に、他社メーカーの強力なデバイスとの競争にさらされる宿命で、歴史的な繰り返しのパタンとなっています。

プレッシャーの高まり
ノースショア資産管理会社のマイケル・オブチョウスキー氏は、「アップルへのプレッシャーは高まっている。というのも、他社はもっと速いデザインサイクルだ。アップルは、リリース時のみ競争力の高いiPhoneをリリースするだけでは駄目だ。長い期間ずっと、競争力を維持する必要がある。だがこれはだんだん難しくなりつつある」と指摘しています。

確かにその通りです。アップルiPhoneとサムスンGalaxyのバトルはこれを例証しています。アップルが素晴らしいiPhoneを出せば、その数か月後にはサムスンが競争力あるGalaxyを出してきます。この共生関係はあまりにも露骨で、世界中で繰り広げられている同2社の法廷闘争はまだまだ続きそうです。

アップルがその製品をリリースし、競合他社がそれに続くという構図ですが、いつまで続くのでしょうか。アップルは明らかに、年1回のアップグレードというやり方をこのまま続けるわけにはいきません。顧客の購買パタンも変化していくわけですから、新モデルをペンディングにしつつ、「今はこれを買え」というような商売は早晩通用しなくなるでしょう。アナリストらの懸念はこのあたりにあるのです。

とはいえ、アップルはもう少し賢い企業です。おそらくは、iPhoneについても、ローコスト、ミドルレンジ、プレミアムという3つの価格帯のデバイスを、新たにリリースする可能性があります。

iPodにSIMが付属する?
アップルは、iPodにSIMを付属させるようにするのではないでしょうか。多様化戦略は、アップルにとって都合がいいはずです。iPodミニもiPodナノも、急速にベストセラーとなりました。しかしiPhoneは2007年以来、年1回アップグレードが続いています。

もしアップルが市場において築き挙げた地位が、ローコスト製品によって侵食されるとすれば、アップルとしても同様に、ローコスト製品を出して対抗する手はあり得ます。

長年、「iPhoneナノ」の噂はささやかれていますが、まだ実現はしていません。ひょっとしてこれは、iPhoneの特徴の多く(全てではない)を備えた廉価版で、かつ独自デザインのデバイスとして実現するのかもしれません。

ウォールストリートジャーナルは6月、みずほインベスターズ証券のアナリストである倉橋延巨氏の興味深い見解を掲載していました。倉橋氏は、「スマートフォン市場は多様化しているが、iPhoneがお題目を設定する構図は変わっていない」とし、「もしアップルが低価格のiPhoneを出すとすれば、それは変化の早い市場環境の影響をアップルが受けつつある兆候と見てよい」という趣旨の発言をしています。

アップルが新iPhoneを出せば、競合他社がこれに続いて追いつこうとする構図...。今でもこれは真理ですが、逆にアップルが廉価版を出すとなれば、この構図に変化が訪れたことになります。

直近のアップルの会計結果は、変化の早い市場環境がいよいよアップルにも影響を及ぼし始めていることを示しています。

エコシステムの繁栄
ティム・クックCEOは2月、スマホ市場におけるアップルの将来に関して、二、三の希望の言葉をもらしました。2015年までに数十億のアップルデバイスが売れる予定です。これを「きっかけ」として、「iPhoneを取りまくエコシステムを繁栄させる」というプランです。

インフォルマ・テレコムズ&メディア・プリンシパルのアナリストであるマリク・サアディ氏は昨年、「アップルは自社ブランドにレバレッジをかけて、新しい接続型デバイスのファミリーを新たに作ることができる」と語りました。

これらの接続型デバイスは、iPhoneと呼ばれる必要はありません。単にiOS で動けばいいのです。サアディ氏は、「アップルはiPhoneのブランドを守る必要がある。アップルは大量市場をターゲットとする接続型デバイスのファミリーを開発するべきだ。しかしそのカテゴリーはiPhoneブランドに属すべきではない。というのも、ローエンドのデバイスは、アップルの旗艦デバイスの威信を傷つけるリスクがあるからだ」と述べました。

ブルームバーグは昨年、アップルが小型で廉価版となるiPhoneを開発しつつあると報じました。そのプロトタイプ(原型)は、iPhone 4の三分の一ぐらいの大きさで、プロセッサー、ディスプレイ、他の構成部分はよく似たものだとされていました。価格は契約なしで、約200米ドル。アップルがこのプランを、初代iPhoneの頃からずっと抱いていることは、信じられる話です。

このプランの実現が遅れている理由として、アップルの現在のプロセッサーを作っているサムスンとアップルの間に深い遺恨があるからだとする説もありますが、あまり信用できません。ここで、アップルお気に入りのプロセッサーメーカーである台湾のサプライヤーTSMCとARMの関係が密になっていることを考え合わせるのは、興味深いことです。

単なる憶測に過ぎませんが、TSMCがアップルデバイス向けに廉価版チップの新ファミリーを製作するためには、生産ラインの準備に時間が必要です。TSMCは昨年、iPhoneのプロセッサー生産の準備に入ったと噂されました。

またアップルはより小型で薄版化したドックコネクターに移行するとされており、次世代iPhoneではより小型化したナノSIMを搭載すると見られています。アップルは他にも、ここ数か月の間に、iPhone 5に焦点を合わせるように、携帯キャリア各社との接触を続けている模様です。

iPhoneのようだが、とても小さい...
昨年のブルームバーグが報じた、いわゆる「iPhoneナノ」の記載は、現行のiPod ナノのそれです。Apple Insiderによると、この新デバイスは、iTunesサービスと接続し、小さなタッチスクリーンを備えた超小型iPhoneのようになるかもしれないとのこと。

まったくの憶測であることを繰り返しますが、アナリストらの言うところを総合すると、アップルが2つまたは3つぐらいのiPhoneスタイルのデバイスをリリースしてくる可能性は高いのではないかと考えられます。

もし実現すれば、各製品の年間アップグレードのパタンが崩れることになるでしょうが、競争力は飛躍的にアップするでしょう。市場は拡大し、季節の売上パタンに脆弱である体質を改善できるかもしれません。

さて、どうなるのでしょうか。

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