なぜアップルはかくも早々に、iPad4をリリースしたのか?
7か月前のサンフランシスコ。多くの聴衆を前にしたアップル社幹部によって、拍手喝采とともに、iPad 3が発表されました。そして先週、第4世代となるiPadが登場したのは皆様もご存知のとおり。7か月という短期間でiPadはアップグレードされたわけですが、このあたりの事情について、英国のMacworldが考察しております。
iPad 3の発売時、忠実なアップル信者らは16GBのWifiモデル(499米ドル)から64GBのWifi+Cellularモデル(829米ドル)を求めて、数時間ものあいだ列に並んだものでした。発売開始後1週間で、300万台の新iPadが売れました。アップルiPadの売上は、初代が世に出て以来2年半のあいだに、総計で1億台となっています。
しかしながら、iPad 3を手にした顧客の有頂天は、それほど長くは続きませんでした。
アップルは先週、やや控え目に第4世代となるiPadを発表。目玉となったiPad miniの影に少し隠れるように登場しました。第4世代iPadは、より高速なチップ、「ライトニング」コネクターを搭載しつつも、価格はiPad 3と同じでした。
新しいiPadの登場は、iPad 3の所有者にとってはいささか寝耳に水といった印象があり、「最先端」という但し書きは数か月で終了してしまいました。アップルは通例、iPadにせよiPhoneにせよ、年一回というアップグレードのサイクルだったのですが...。CouponCodes4uがアップル製品購入者1427名を対象に行った調査によると、41%がiPad 3の保持者で、そのうち83%が今回の新iPad告知で「だまされた」と感じていると回答しました。
では、なぜアップルは第4世代となるiPadをリリースしたのでしょうか?簡潔な答えとしては、技術的にも戦略的にも、iPadのアップグレードは大きなものではないが必要なものだから、ということになるでしょう。
新しいiPadが出ると、しばしば旧バージョンはないがしろにされがちです。iPad 3については今後、アップルストアで見かけることはなくなりそうです(オンラインのApple Storeで、1万円安くなって販売されています)。第3世代iPadは先週、打ち切りられる形となりました。第4世代iPadは、公式には「iPad Retinaディスプレイモデル」と呼ばれますが、第3世代iPadもRetina付きだったことを思うと、腑に落ちない気分になります。
アップル社としては、やはり、iPad 3が短命であることを知っていたはずです。iPad 3リリース直後の、アップル第2四半期業績発表において、同社は4~6週間の目標範囲で200万台のiPadの流通在庫があると報告しました。
IHS iSuppliのアナリストであるローダ・アレクサンダー氏は、「アップルの第3四半期における売上の違いは、一部には、新製品を前にして在庫数を縮小したことにある」と述べています。
あたかも第3世代iPadは存在しなかったかのようです。
技術的な面から言えば、アップルは第4世代iPadを必要としていました。第3世代iPadはA5Xプロセッサーで高性能なRetinaディスプレイを動かしていましたが、第4世代iPadはデュアルコアA6Xプロセッサーとクアッドコアのグラフィックス。
「振り返ると、アップルはA6プロセッサーを待つべきだったのかもしれない」と、アレクサンダー氏。しかし「アップルを責めてもどうにもならない」と、同氏は付言。今年の第1及び第2四半期、アップルは驚異的な売上を記録し、タブレット市場を独占しました。前年のロスを大きく取り返したのでした。
アレクサンダー氏はiPad 3保持者の不満に関して、第4世代iPadまたはiPad miniとiPad 3を交換するような取引を、アップルがしてくれる可能性があると指摘しています。
「頻繁にはあることではない。こんなことが頻繁に起これば、それは問題だ。ブランド価値が失われてしまう。アップルは今後、3月にiPadを刷新することはないだろう。顧客にとって都合がわるいからだ」と、アレクサンダー氏。
ここで、「次世代iPadのアップグレードはいつになるのか?」という問題が浮上してきます。
販売戦略上、第3世代iPadのすぐ足元に第4世代iPadが来ているわけですから、アップグレードのサイクルも、年初から年末に移行することが考えられます。アレクサンダー氏はこれを「大いにありうること」とし、「競争の激しいタブレット市場で、第4四半期こそ、新タブレットリリースの時節となる」と語りました。
となると、次世代iPadは来年の秋まで出てこないことになります。第3及び第4世代iPadが高速化したチップを除いてほぼ同じであるわけですから、次世代iPadは、17か月後になって初めて、大きなアップグレードとともに新登場することでしょう。
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