先週、アップルがiPhone 5sを発表した際、新しいA7チップが64bitのアーキテクチャに対応しているということがずいぶん話題になりました。ただ、この部品でアップルが具体的に何を目指しているかは、あまり語られていません。
米国のAnandtechは、1.3GhzのデュアルコアA7チップを搭載したiPhone 5sの、ベンチマークテストを行ったようです。その結果を米国GigaOMがレポートしています。
今日、新製品の発表がスペック競争の様相を呈する中、アップルのデュアルコア・チップは良い意味で独特の存在です。過去に目にしてきたように、コアが増えることは必ずしも性能が上がることを意味しません。これはiPhone 5sに特にいえることで、実際このテストでは、iPhone 5sは他のクアッドコアのAndroidスマートフォンをやすやすと上回る性能を示しています。
AnandtechはiPhone 5sを、HTC、LG、モトローラ、サムスン電子の各主要なAndroidスマートフォンと比較しています。iPhone 5sにもっとも近い成績を収めたのは、LGの最新のフラッグシップLG G2。1コアあたりのクロック数が2.3GHzのクァルコム製クアッドコアSnapdragon 800を搭載した製品です。そう聞くと、1.3GHz デュアルコアA7を搭載したiPhone 5sに勝るのでは、との印象を受けますが、テストはまったく予想外の結果を示しています。
CPUとGPUの性能テストでは、iPhone 5sはほとんどのケースにおいて、他のすべのスマートフォンを大幅なリードで打ち負かしています。テストでは、実際に使用したときの、パフォーマンスの全体像がわかるBrowsermark 2.0も行われました。ここでも、他のテストのように劇的とはいわないまでも、iPhone 5sが首位を獲得しています。
アップルのデュアルコアは、なぜクアッドコアを搭載した他のスマートフォンより効率が良いのでしょうか? ここには、かなり単純なロジックが存在します。Anandtechはテストレビューの中でこう説明しています。「周波数が低い場合は、ほとんどの使用において、デュアルコアの方がクアッドコアより、まだ優れている。Nvidiaはクアッドコアへの移行を強引に推し進めたようだが」。
4つ(かそれ以上)のコアが、より効率的に処理を行うことは疑いのない事実です。ただしそのためには、これらのコアが作業を行えるよう最適化がなされていなければなりません。メーカーは、はやまってオクタ(8)コアに飛びつく前に、いま手中にあるクアッドコアの利点を最大限活用することにもっと時間を費やしても損はないはずです。