今週ニューヨークでついに、サムスンのGalaxy S4が新登場、アップルiPhoneとのバトルもまた再燃しそうな気配です。グラミー賞の開催場所であるRadio City music hallでは14日(現地時間)、マイケルジャクソンやレイディーガガのようなスターではなく、サムスンの次期ヒット作となるだろう新スマートフォンがいよいよ姿を見せます。英国のthe guardianが伝えます。
タイムズスクエアで生放送されるセレモニーで、韓国の電子機器大手サムスンは、Galaxy S4を披露します。ソウルとシリコンバレー間におけるスマホの覇権争いは続行中ですが、今回の新モデルは、アップル最新iPhoneへの挑戦状と言えます。サムスンはすでにどの他社よりも高い売上を誇っていますが、ハイエンド市場においては、今に至るもアップルの優位は揺るいでおりません。
サムスンGalaxy Sを取り扱うフランチャイズはiPhoneのそれに追いつきつつあり、今年はトップの座を占める可能性も出てきています。アップルは現在、株主とのいざこざ、フォックスコン工場でのトラブル、マップ不具合など弱り目に祟り目という状況ですが、サムスンは広告費に年間50億米ドルを費やして、ブランド地位を高めています。競合他社で、50億米ドルもの広告費を注ぎ込んでいるところはありません。
米国の市場調査会社IDCのアナリストであるフランシスコ・ジェロニモ氏は、「アップルが市場を牽引しているわけではない。新しいサムスンのデバイスが今後2年間で、アップルの新デバイスを超える売上を示すとしても、私は驚かない」と述べています。サムソンは沈黙していますが、Galaxy S4には、ありとあらゆる最新技術が詰め込まれている模様。ユーザーは視線を動かすだけで、スクリーンをスクロールしたり、ビデオを一時停止できるとのことです。
Galaxy S4では、カメラが視線の動きをトラックします。これはすでに、Galaxyフォンにおいて、ページを読んでいる最中はスクリーンが暗くならないようにしたり、ユーザーの視線に画像を調整したりするのに用いられています。商標は「アイスクロール」および「アイポーズ」と呼ばれており、欧州のサムスンによって今年1月に登録済み。
Galaxy S4は、5インチディスプレイ、13メガピクセルカメラ、さらに8コアプロセッサー搭載。今日最も進化したスマホでもまだ4コアです。つまりGalaxy S4はiPhone 5に比べ、より大きなスクリーンを備え、画像はより鮮明に、ウェブページの処理はより高速になるということです。
米国の投資銀行Jefferiesのアナリストであるピーター・ミセク氏によると、サムスンにはスマホ向けに「巨大な」計画があるとのこと。それは、最初の9か月間で1億台の出荷を目指すというものです。アップルiPhoneの最大ヒット作であるiPhone 4Sは、1億1000万台を出荷するのに15か月を要しました。
このサムスンの野心の規模の大きさは、アップルにとって、市場における脅威以上の何かとなります。ミセク氏は、「急上昇を続けるスマホ産業において、原材料やスクリーンのような構成部品の競争は激化しており、サムスンからの需要が複数のサプライヤー各社を牽引することで、各社はリソースをアップルから離して再配置することにもなりかねない」としています。
サムスンが吹かせる風に乗って、アップルは最新機種をローンチします。iPhone 5は昨年9月にリリースされ、iPhone 5Sは今夏に登場すると見られています。米国の市場調査会社Strategy Analyticsのニール・マウストン氏は、iPhone 5S登場前に、Galaxy S4がiPhone 5に代わって世界一のベストセラースマホの座を奪うとし、ただ決定的な差が出るまでは追いつ抜かれつの展開が続くとの見通しです。
「当面は、『チキチキマシン猛レース』(原題:Wacky Races)のようになる。前半は、ある者が一歩先んじて、その他がそのまた次に先んずる」と、マウストン氏。
きたるサムスン新製品の「箱の開封」を描く広告ビデオでは、ある少年がGalaxy S4の箱のふたを最初に開けると、その顔が黄金の光りに照らされます。この広告では、少年が「カラーテレビ登場以来、市場に現れた商品として最も驚くべきものの一つ」を見ようとしている、と謳っています。
アップルにとってのプレッシャーは、とりわけ強烈です。その最新製品には、かつてスティーブ・ジョブズが率いていた頃は豊富にあった、人々をあっと言わせる要因が欠如していると見られています。IT分野の調査および助言を行う英国のGartnerのアナリストであるキャロライナ・ミラネシ氏は、「アップルブランドには現在、ネガティブな要素が多く付きまとっている。次期iPhoneは重要な製品となるが、アップルが本気で取り組んでいるようには見えない」と述べました。
ミラネシ氏の予測によると、アップルは、再デザイン化されたインターフェース、クラウド内の映画用無料のストレージ、Siriの増強版をもってカムバックし、場合によっては値下げをするかもしれないとのことです。