TeachMe iPhone > スマートフォン 最新情報 > 2012年1月29日

スマートフォン戦争、スマホ各社の現状と展望を比較

スマートフォンをめぐるシェア争いは日々続いており、その覇権は誰の手に渡るのか、その競争はもう決着がついているのか、それとも未だ予断を許さない状態なのか。英国のthe guardianが、スマホ各社の今後の展望を伝えています。

スマホの浸透ぶりは驚異的なもので、英国ではその人口の半分以上が、ネット閲覧できアプリが動くスマホを所有しています。米国でも人口の半分近くが所有。数字面でもまだ伸びしろがあり、過去二十年間お馴染みのPC市場を上回っています。

とはいえスマホにも盛衰があり、それはほんの一瞬の経営判断で決まってくる過酷なもの。5年前のアップルにアイフォンはありませんでした。当初、マイクロソフトもブラックベリーのRIM(Research in Motion)も、その後のアイフォンの大成功を予測することはできませんでした。フィンランドのノキアはシンビアンというプラットフォームでやや小さ目のマーケットを占有していました。Googleのアンドロイドにいたっては、外部者には殆ど知られていませんでした。

現在、その全てが変化しました。アイフォンがスマホのデザインとユーザーインターフェース(UI)を決定的なものとし、一方、マイクロソフトとノキアはそのモバイル用ソフトウェア(ウィンドウズモバイルとシンビアン)をお払い箱にしました。その後、ノキアのハードウェアとマイクロソフトのソフトウェアは提携し、前者は採算性を、後者は市場シェアと採算性を求めて奮闘しています。RIMはすでに頂点を経て、今や下降路線です。今週、同社取締役二名が解雇されました。

その間、アンドロイドは隆盛をきわめ、現在売られているスマホの50%以上に組み込まれています。元ノキアのアナリストであるホラス・デデュー氏によると、「スマホ企業は一旦赤字になればもう決して挽回することはできない」とのこと。その証拠として同氏が挙げるリストには、アルカテル、シーメンス、BenQ、エリクソン、ソニー、モトローラ、カシオ、NEC、日立、富士通、東芝、パーム、ハンドスプリングが記載されており、この中で、かつての地位を取り戻した企業は一社もありません(もはや存在すらしない企業もあります)。同氏は「採算性は炭鉱のカナリア」だと警告します。つまり赤字採算となれば、その商品に欠陥があると見なされるのです。

Google、マイクロソフト、アップルにとって次の戦場は、オンラインTVと見られています。今月初旬のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、フィリップス、シャープ、ほか多数の中国企業が、アンドロイド搭載(Google公認版ではない)の「スマートTV」を発表しました。他方、アップルは今年後半に、なんらかのスマートTVを出す見込みです。

それでは、今後のスマホ各社の動向と展望を見てみましょう。


RIM

新機軸: 暗号化Eメール、無料デバイス間コミュニケーションツールのBlackBerry Messenger。

判断ミス: アップルiPadの物真似商品。2万台を生産、しかし出荷はその約半分。売れ残り4億8500万米ドルを減価償却。販促に10億米ドルを浪費。

長所: BBMと暗号化Eメールに一定の評価。十代のユーザーに無料BBMが受けている。

短所: BBMと暗号化Eメールを支えるシステムに欠陥が露呈し、昨年10月、数日にわたるシステム機能停止が発生。

今後は?: 根本的な改善がなければ、衰退やむなし。

上向きか下向きか?: 下向き。底なしの下向き。


Apple

新機軸: タッチスクリーンを基本としたデバイス、良好なウェブ閲覧、多くのアプリ。若干高めの価格設定にもかかわらず、米国と中国の市場で多くの顧客を集めている。しかし欧州では、やや価格が安めのアンドロイド系スマホが好まれている。

判断ミス: 野村證券のアナリストであるリチャード・ウィンザー氏によると、アップルは昨年2011年、ハイエンド機種と中価格帯の機種をリリースすべきだったとのこと。そうしていれば、アンドロイドにシェアを奪われることもなかったと、同氏は見ています。

長所: 内部的にはデザインと品質向上に専念し、内部留保で工場生産委託とマーケティングに注力。外部的には、引き続き、お得意様の囲い込み。

短所: 年一回しか新モデル発表がない(これまでは)。とはいえ、それはマイナスになっておらず、他のスマホ各社より高い収益を上げている。だが新デザインが奮わないと、宙ぶらりんの可能性もあり。

今後は?: 中国で大きな成功を収めるか、世界シェアをアンドロイドに食われるか(アンドロイドへの鞍替え、おそらくはウィンドウズフォンへ)。

上向きか下向きか?: 上向き。今年のクリスマス商戦はとんでもないことになるだろう。しかし、勢いがあるとはいえ、世界的な景気後退やアンドロイド系スマホの低価格化もあり、予断許さず。


Google

新機軸: モバイル各社向け無料アンドロイド、そこに盛り込まれたGoogleの一連のサービス。マイクロソフトの「一機種ごと支払い」バージョンより遥かにシンプル。

判断ミス: マイクロソフトやアップルは、HTC、サムスン、モトローラ、LGなど携帯電話メーカーとの間で訴訟を起こし、ときには勝訴しているが、Googleは殆ど見返りを得ていない。ライバル各社を牽制するため、モバイル特許取得目的で、モトローラを125億米ドルで買収しただけ。

長所: 携帯電話各社の多くがアンドロイドを採用。公認、非公認を問わず、Googleの検索サービスとYouTubeの利用につながり、利益を生んでいる。

短所: 特許申請の不備。アンドロイドで実際に収益を上げるルートが不透明。

今後は?: 成長路線、特に中国で。中国の携帯メーカーは「公認」のアンドロイドを採用していないので、Googleの収益に結びついていない。しかしライバル各社を締め出す効果はあり。

上向きか下向きか?: 上向き。


Microsoft

新機軸: ウィンドウズモバイルを捨てて、ウィンドウズフォンを立ち上げ。

判断ミス: スマホ使用時におけるタッチスクリーン仕様のインターフェースを軽んじた。

長所: エンジニアの優秀さ。マーケティング向けの多額の内部留保。

短所: ウィンドウズモバイルで毀損したブランドイメージ。PCのウィンドウズを好まない人が一定数存在する。

今後は?: 米国に戻って来たノキアを強力なパートナーとし、今後数年の収益増を見込んでいる。販促として、無料版Xboxが提供される。

上向きか下向きか?: 上向き。なぜならこれ以上下落しようがない。


Samsung

新機軸: 同社独自ブランドのBadaモバイルOSではなく、アンドロイドを採用した。

判断ミス: スマホ、タブレットともに、アップル製品の酷似。大規模なデザイン部門、創造的なデザインを生み出す部門があるにもかかわらず、アップルの物真似で満足している。

長所: 企業の垂直統合。世界最大の半導体メーカーであり、モバイル携帯スクリーンの製造を行っている。よって、全ての面で最安値を実現できる。生産は迅速で、非常に安価。

短所: 西洋諸国では、ブランドネームが本国の韓国においてほど確立していない。そこがネックとなり、アップルのような売り方ができない。

今後は?: 「公認」アンドロイド系スマホの約半分が、サムスン製である。その数値は今後も上昇するだろう。本来であれば、Googleのやり方に口出ししたりすることもあっていいところだが、現状は高収益に満足している。

上向きか下向きか?: 上向き。


Nokia

新機軸: 2010年9月にCEOのオリペッカ・カラスブオ氏を解雇、代わってステファン・エロップ氏が就任。

判断ミス: アイフォンとそのタッチスクリーン仕様を軽んじ、シンビアンの方が優れていると思い込んだ。

長所: 製造上の柔軟性と迅速性(大規模の)。初のウィンドウズフォンは一年未満で開発が終了。他社であれば、その倍の時間がかかるところ。「生き残りは我々のDNAの中にある」と同社幹部。

短所: 20世紀の携帯電話ビジネスを牽引、2000~2009年のあいだ君臨したが、「過去ブランド」とのイメージが定着。

今後は?: スマホ事業でマイクロソフトと提携、成功も失敗も運命共同体となった。だが流石のノキア、失敗はないだろう。しかし多くの中国の低コスト携帯企業が安価なアンドロイド系スマホを製造しており、競争は激化するだろう。

上向きか下向きか?: 上向き。しかし、数四半期は浮沈を繰り返す。また財政も依然問題を抱えている。

以上が、英国のthe guardianが分析する、スマホ各社の今後の動向と展望です。日系企業が一社も入っていないのが、さびしいところですね…。


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