iPhone miniのデビューは実現するのか
iPhone Miniが今年中(もしくは2014年)に発売されるとの奇妙な憶測が飛び交っています。果たしてiPhone Miniのデビューは実現するのでしょうか。米国Forbesのティム・フォーストール氏が考察しています。
理屈はわかるのですが、実現するかどうかは疑問です。
米市場調査機関ストラテジーアナリティックスは、アップル社がより安価なスマートフォンのユーザーをターゲットにした市場シェア獲得を狙い、来年にもよりコンパクトで手頃な価格のiPhone Miniを発売するかもしれないと見ています。
ストラテジーアナリティックスの推測の背景は次のとおりです。
二大スマートフォンメーカーであるアップル社とサムスン社は、両極端の販売戦略をとっています。サムスン社が採用しているのは、多種多様なニーズに細かく対応した戦略です。市場の各消費者層のニーズに合わせた多種多様な機種を展開しているのです。そのような方式自体に問題はありませんが、各種モデルの開発と製造にコストがかかります。たとえば、50の異なる機種を開発し、その50機種に対する製造ラインを設け、その50機種に必要なすべての部品をストックするとなると、ラインアップが少ない場合に比べコストがかかることになります。
対するアップル社の戦略は正反対です。現在製造を継続しているのは、3機種のみです。少ないラインアップの製造に集中する方針です。必要な機種の開発にのみ集中することにより、余計なコストは省けます。3機種のみの製造に集中することで、部品ストックのコスト、コンポーネント購入のコストも削減することができるのです。
アップル社が採用している上記の戦略には、ローエンドマーケットを考慮していないという問題点があります。その弱点をカバーするのがiPhone Miniです。iPhone 4などに投入した従来の機能を維持するのみではなく、機能を落とした低コストの機種を製造することにより、人々をひきつけアップル社の収益につなげることを図るのです。
モーストン氏は、「サムスン社は、より多様な消費者層をターゲットとしているため、アップル社よりも多くの販売数量を達成できるだろう。」と述べています。アップル社が今年中にiPhone Miniを発売しないことを前提とした発言です。
以上は、あくまで推測にすぎませんし、言わんとしていることは理解できるのですが、アップル社がそのような戦略を果たして取るかどうかは疑問です。二大メーカーのアップル社とサムスン社で業界全体の純利益の100%を超える収益をあげていることから、どちらかの戦略が良好な収益につながっていることは間違いありません(多くのメーカーはマイナス収益ですので)。しかし、戦略の変更がアップル社の収益維持につながるとは思えないのです。
iPhone Miniは、確かに(従来のiPhoneより)コストはかからないでしょう。そこは重要なポイントです。しかし、それに伴いネットマージンも減少します。同社製の他機種との競争が生じれば(iPhone5の代わりにMiniを購入するなど)、販売台数が増加したとしてもアップル社の総売上は減少することになります。
もちろん、そのようなことはCEOであるティム・クックの方が気をもんでいるでしょうが。もし、本当にiPhone Miniが販売されることになったら、驚きは隠せません。