iWatch製造に新たな壁、量産11月に先送り 年内出荷台数300万台- KGI証券アナリストが報告
アップルのiWatchについて、業界では、9月下旬に量産が始まり10月中に発売が開始されるとの見方が一般的のようです。しかし、アップルの新製品情報に詳しいKGI証券のアナリスト、ミンチー・クオ氏だけは、製造上のさまざまな問題から、量産の開始が11月にずれ込み、発売直後の販売台数も限定的になるとの見解を示しました。米Apple Insiderが伝えています。
クオ氏は、最新のリサーチレポートの中で、アップルがiWatchの製造に関してソフトウエアとハードウエアの両面で新しいレベルの困難さに直面していると指摘しています。
ハードウエアの面では、例えばフレキシブル有機ELディスプレイやサファイアガラスといった、従来より扱いの難しい部品や素材が採用されると見込まれており、それが製造の困難さを高めるとクオ氏は指摘しています。
アップルはまだ、民生品では有機ELディスプレイを使用したことがありません。サファイアガラスを大量に使用する製品も、製造したことがありません。最も大量に使用したのは、iPhone 5sのTouch IDの保護カバーだけです。iWatchではこのサファイアガラスを、2.5インチのやや縦長のディスプレイに使用すると伝えられています。
またiWatchでは、小型化のために、複数のチップを1パッケージで作成するSiPプロセスが採用される見込みです。と同時に、アップルはデバイスに高い防水性を持たせる計画でもあるため、両者の並立が製造をさらに困難にするようです。その他、複雑な構造を持つワイヤレス無線のような機能の搭載も見込まれています。
ソフトウエアの主な課題は、iPhoneやiPadなど、画面の大きなデバイスとの相互運用性を維持しつつ、小型のディスプレイにも対応できるようiOSを再設計しなければならないことです。アップルには、ハードウエアとソフトウエアの垂直統合においてすでに輝かしい歴史がありますが、それでも、iWatchのこれまでにない全く新しいフォームファクタが、インターフェイスに何らかの問題を引き起こす可能性はぬぐいきれません。
クオ氏は、以上のようなことから、10月の発売に対応できるサプライヤはごくわずかであるため、市場の見通しは誤りであると指摘。「2014年末までに1,000万台を出荷」するとの予測も実現は困難であり、今年末までの出荷台数は300万台程度になるとの見通しを発表しています。