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アップルは勝利した!デザイン中心主義に徹するアップルとその巨大な影響力

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アップルの勝利はいよいよ大団円を迎えつつあるようです。アップルはPC、モバイルデバイスのデザインの世界基準を生み出し、そのデザイン中心主義というプランの正しさを証明しました。ハイテク産業全体にわたって、各社のデザイン作りに影響を与え続けています。アップルはテクノロジー産業そのものを定義づける役割を果たしているとも言えます。

アップル専門家のジョニー・エバンス氏が、米国のCOMPUTERWORLDに寄稿しております。

デザインの重要性
デザインの重要性を知るのに、深く考える必要はありません。例として、アップルのMacBookを見てみましょう。チタン製のPowerBookが最初に現れた時、この薄いアルミニウム製のシステムは、実にユニークでした。しかし今や、どのプレーヤー(HP、サムスン、デル)も、同じようなシステムを提供するようになっています。

アップルはまた、モバイルデバイスのデザインも決定的なものにしています。iPadの「丸みを帯びた角」をめぐる騒動は別としても、今やほとんどのタブレットが信じられないほどiPadに似ています。タッチディスプレイを備えた長方形の姿を最初にこの世に生み出したのは、アップルでした。そして今だに、その方向性の「模倣」を、多くの他社は止めようとしていません。

スマートフォンも同様です。最初の頃、普通ひとが気付くであろう違いは、ディスプレイの大きさぐらいでしたが、後には技術的な側面も比較検討するようになります。

アップルの影響は、製品の物理的なデザインばかりではありません。トレンドとして、競合他社の多くが、アップルデザイン部門の新デバイス開発方法を見習い始めています。これは消費者にとってまことに有難いことです。アップルの影響を受けたデザイン作りを志向することで、競合他社らがようやく「細部にこだわる」ようになります。

アップルにとって、細部(ディテール)はきわめて重要です。これは何も、最終製品の見かけや、OSとの密接な統合を言いたいのではありません。肝心なことは小さな細部にひそんでおり、多くの人々が見過ごしがちなところです。初期段階のノートブックにあったバネ荷重蝶番、キーボードに対するディスプレイの相対的な配置、回路基盤のパタン、製品の箱詰めによってもたらされる第一印象のようなことです。

努力をすれば、それなりの報いはある
アップルは細部に注力します。かつてジョナサン・アイブ氏は、こう述べました。

「ノートブックを開発していた頃、私たちが本気になって努力を重ねたのは、ノートブックを開いた時、『ディスプレイはディスプレイである』ようにしようということだった」と、同氏は2004年、ロンドンのデザインミュージアムで語りました。

「恐らくだれも知らないことは、私たちがバネ式のクラッチをもつメカニズムを、大変な苦労をして開発したことだ。ノートブックを開くと、まさにディスプレイがそこにあるというデザインだ。このポイントの開発には、多大な時間を費やした。だから出来上がった製品は、他の何よりも素晴らしいものとなった」

このような細部へのこだわりこそ、アップルの評判の根底にあるものです。

アイブ氏がこのように語ってから、もう十年が経過しました。この十年間、PC産業においてもたくさんの変化がありました。他社が停滞または衰退する中、アップルは首尾一貫してその事業を拡大しています。

世界規模のPC産業の2~3%のプレーヤーから10%のプレーヤーに成長を遂げたアップル。スマホの開発においても、iPhoneによって、世界基準を作り出しました。

その理由とは?
アップルは単に製品の見かけやフィール(feel)に注力するだけではないのです。内部にあるディテールにも手を抜くことがありません。構成部品の選択は重要で、システム全体の性能や機能性に影響を与えます。モバイルデバイスについても、構成部品は軽く、効率的で、消費電力の少ないことが求められます。各構成要素は互いに効果的に連携しつつ、OSが動く上で最適のサポートをするようになります。

これらのことは工学的な見地からは当然のことながら、システムのメーカーが、アップルのデバイスの美しさが外見ばかりでなく、内部にも美がひそんでいることに気付くのに10年もの歳月がかかりました。

デザインを深く探求することは、何事であれ、それを深く調べつくすことが前提です。そんな探求が、最終的な製品を生み出します。最良の製品を生み出すには、細部を詰めるのに努力を惜しまないことが必要です。

この教訓が最終的に、ベージュ色の箱型のシフトレバーに到達します。製品デザイナー、メーカー、こぞってこれに続くようになります。Digitimesは、次のように書いています。

「ノートブックのブランド各社は、自身でR&D(研究開発)をするようになっている。開発上のアイディアについて、ODM(相手先ブランドによる設計製造)メーカーをスキップして、直接ヒンジ(蝶番)メーカーと交渉している。かつはODMが、ブランド各社のためにR&Dをしたものだが、今やそうではなくなっている」

今やブランド各社が自ら、冷却モジュール、製品シャーシ、バッテリーなどを含む構成部品をデザインするようになっているのです。アップルやサムスンのPC市場における大成功こそ、各社が自分たちでR&Dを始めるようになったきっかけです。

アップルがモバイルコンピューター市場を、MacやiPodで席捲し始めて10年が経ってようやく、良いデザインとは、単にブランド名を箱に付けるだけではないというメッセージが浸透し始めているようです。

アップルは結局、きわめてニッチなプレーヤーから、業界でもっとも創造力豊かなプレーヤーへと変貌しました。このことは、デザイン中心主義というプランの正しさを証明したことになります。もちろん忘れてはいけないことは、デザインとは単に見かけやフィールのことではない、ということ。中身が肝心ということです。

PC業界は今、アップルの目指す道と同じ方向に向かっています。アップルがそのビジネスプランの正しさを証明したことは、自明です。アップルのデザイン作りを他社がこぞって真似ていること、まさにこのことこそ、アップルの勝利が大団円を迎えているということを意味しています。これはまた、プラットフォームにとらわれない勝利でもあります。世界中の消費者にとって、大変良いことです。

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